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「リゾート婚」のワタベウェディングが希望退職者を募集、新型コロナで経営悪化

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リゾート挙式サービスを運営するワタベウェディングが、希望退職者を募集すると発表した。期間は10月26日から11月15日までとし、120人程度を募集する。
同社は新型コロナウイルスに感染拡大に伴う渡航制限により、4月以降の海外ウェディング営業地域の全挙式施設で挙式催行が困難になった。6月に沖縄県の一部施設で稼働を再開したものの、国内ウェディングに関しても式を延期するケースが多く収益が悪化。役員報酬の減額をはじめとする人件費削減、賃料減額交渉といった固定費削減、販管費抑制を実施したが、厳しい経営環境が続いており、人員構成の最適化、収益状況に見合う規模の検討、生産性の向上を推進するため、希望退職の募集を決めた。  
募集対象は35歳以上の正社員および契約社員。優遇措置として特別退職金の支給と希望者への再就職支援を行う。退職日は12月31日を予定している。
なお、同社は安定した経営基盤の構築に向け、国内11店舗の閉店も決定。店舗を主要都市に集約し、店舗運営の効率化や固定費の削減を目指す。また、オンライン接客の強化とコールセンターの充実を図り、ポストコロナを見据えた販売戦略を実践していく予定。加えて、10月から6ヶ月間は取締役会長と代表取締役、そのほかの取締役、監査役の役員報酬を減額するとした。
(FASHIOSNAP.COM 9月30日)

ワタベウェディングの希望退職者募集は、海外と国内の移動制限に加えて、店舗型ビジネスの悪化を象徴するような事例だ。この流れは不動産取引にも顕著に現れている。
サンプル数は少ないが、店舗型ビジネスが対面から非対面に転換しつつある実態を示す調査結果が発表された。
東証マザーズ上場の不動産テック企業・GA technologies(東京都港区)は、国土交通省が推進する「個人を含む売買取引におけるITを活用した重要事項説明に係る社会実験」を活用し、面談から契約まで完全非対面で不動産売買契約を締結した50名に対してアンケート調査を実施した。
調査期間は2020年9月8日~同9月22日。50名のうち26名から回答を得た。
その結果、①不動産売買の「非対面契約(オンライン契約)が実用化されるべき」と思うが100%②IT重説を活用した非対面型の契約手続きの中で最もオンライン化が望まれている部分は、署名・捺印③契約書面を物理的に保存したいというニーズが一定数ある――この3つがわかった。
冠婚葬祭のオンライン化も、もはや後戻りできない流れになったことが、ワタベウェディングに希望退職者募集を促したのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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