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雇用底ばい、回復見えず リクルートHD・峰岸社長

ono20200930

雇用、旅行、飲食、住宅、結婚、美容など社会生活に欠かせない情報やマッチングサービスなどを手掛けるリクルートホールディングス(HD)。新型コロナウイルスは企業と生活者にどのような意識や行動の変化をもたらしたのか。峰岸真澄社長にコロナの今と先行きについて聞いた。

――雇用情勢をどう見ていますか。
「欧米と日本とでは大きく異なっている。米国ではコロナが深刻化した4月、失業率が14.7%と急激に悪化し、史上最悪を記録したが、8月には8.4%にまで改善している。子会社の求人サイト、米インディードでは5月上旬の求人件数が前年比39%減だったが、9月上旬は19%減まで回復している」

「日本の失業率はリーマン・ショック時に比べて急激な変化は見られない。雇用のセーフティーネットが機能したからだろうが、回復の兆しが見られない。緩やかに悪化して底ばいの状態にある。業界団体の求人件数も最新の7月までの3カ月、前年比で50%から60%の落ち込みが続いている。先は見えてこない」

この記事はリクルートホールディングスの峰岸真澄社長へのインタビューである。

従来の経済危機と違い、ウイルスが相手だけに景気変動の見通しは立てようがない。「アフターコロナ」なら景気回復を期待できるが、「ウィズコロナ」には常時、感染拡大リスクがついて回る。企業は雇用に慎重にならざるえないうえに、デジタル化の進行で“人手離れ”が各業界で加速する。

峰岸氏は雇用情勢について「緩やかに悪化して底ばいの状態にある」と指摘するが、この兆候は昨年からみられた。黒字企業が続々と希望退職を実施したのだ。DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に備えた世代交代が表向きの理由だが、かりに新型コロナ問題が発生しなければ、今年も黒字リストラがつづいただろう。

その基調にコロナ失業が重なったともいえる。コロナ対応も踏まえてデジタル庁創設によって、多くの業種・職種がDX対応に迫られる。否が応でも世代交代が進むが、旧制代の雇用はどうなるのか。雇用機会の世代間格差はさらに拡大してゆく。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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