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内定取り消し、昨年の5倍に コロナ影響、8月末で174人

厚生労働省は15日、2020年春卒業の大学生や高校生への採用内定取り消しが、8月末時点で76事業所、174人だったと発表した。19年春卒を対象とした調査の約5倍で、新型コロナウイルス感染症拡大が大きく影響した。入社時期が遅れたり、自宅待機になったりした学生も1210人いた。全国のハローワークを通じて集計した。
 内定取り消しは解雇に相当するため、客観的で合理的な理由がない場合は無効となる。3月ごろから内定取り消しが相次いだことを受け、厚労省はハローワークに相談窓口を設置するなど対策を講じている。  174人の内訳は大学生132人、高校生が42人。
(共同通信 9月15日)

 内定取り消しとセットになった動きは早期・希望退職者の募集である。その勢いは止まらず、新卒学生の人生を慮る余裕はないだろう。
東京商工リサーチに調査によると、2020年の上場企業の早期・希望退職者募集が9月14日、1万100人と1万人を突破した。年1万人超は前年10月9日から約1カ月早く、募集企業数は前年比1.7倍増の60社で、10年の85社に迫るという。
 この数字は上場企業に限った集計だから、未上場企業を含めればどれだけの数に達するのだろうか。大型補正予算を投入する経済対策では追いつきそうになく、年末にかけて早期・希望退職者募集は増加傾向を辿るだろう。
早期・希望退職者募集を開示した60社の業種は、多い順にアパレル・繊維製品9社、電機機器8社、輸送用機器が6社、外食5社。募集人数は、多い順にレオパレス21の1000人、ファミリーマート800人(応募1025人)、シチズン時計(子会社複数が実施)750人、ノーリツ600人(同789人)だった。
 バブル崩壊後もリーマンショック後も、内定取り消しと早期・希望退職で路頭に迷う人が大量に出現した。もっともリスクが低い就労形態は自営業といえなくもない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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