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企業の21%「人材流出」懸念 KPMG、世界のCEO調査

ono20200917

 国際会計事務所のKPMGインターナショナルが世界の最高経営責任者(CEO)を対象に実施した調査によると、今後3年間の企業の最大のリスクについて「人材の流出」との回答が21%と最も多かった。新型コロナウイルス禍でテレワークが普及し、場所を問わない働き方が可能になり、人材獲得競争の激化が懸念される。デジタル投資を進める声も目立った。
調査は1~2月に日本など主要11カ国のCEO1300人を対象に実施。コロナ拡大後の7~8月にも315人に追加調査した。
1~2月時点の調査では「人材流出」は1%にとどまった。コロナを機にテレワークを浸透し、フリーランスなど新しい雇用形態の活用が広がる。KPMGの菅野香織ディレクタ―は「地域や国を超えた人材獲得競争が激しくなっており、多くの企業が危機感から採用戦略の変更を検討している」と指摘する。
テレワークの普及は企業の経営戦略も大きく変えそうだ。7~8月の調査では、オフィススペースの縮小を検討するCEOが7割弱に上った。8割が「テレワークが企業風土を育むための方針に大きな影響を与えた」と答えた。
(日本経済新聞 9月10日)

フリーランスの就労実態は各国で違うのか、それとも類似しているのか。少なくとも日本では、その昔「フリーは不利」といわれたが、実態はいまでも変わっていない。取引構造のなかでフリーランスの位置は末端である。
よほど特異なノウハウを保有し、唯一無二といれるぐらいのポジションを築かない限り、料金交渉でも優位に立てない。しかも真っ先にコストダウンの対象になる。知人のフリーランス・カメラマンは「コロナの影響で収入が減ったどころではない。5月の収入はゼロだった」とこぼした。
 同じフリーランスでもITエンジニアは需要が多いので、報酬単価が高く受注量も多いが、いつまでつづくは不透明だ。いまの高収入が水物であることは、本人も承知しているだろう。
フリーランスは多様な働き方というよりも、不利な働き方といえるのが実態である。KPMG調査でわかった人材流出懸念の流出先は、多様な雇用形態を制度化している会社などフリーランス以外に向かうはずだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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