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コロワイド、大戸屋に現取締役全員の解任求める 敵対的TOB成立で

ono20200916

焼き肉チェーン「牛角」などを展開する外食大手コロワイドは9日、定食チェーンの大戸屋ホールディングスに対する敵対的TOB(株式公開買い付け)成立を受け、臨時株主総会の開催を請求したと発表した。窪田健一社長ら現取締役11人全員の解任と、コロワイドが推薦する取締役候補7人の選任を求める。 コロワイドは、大戸屋の現経営陣では業績回復は困難と判断し、取締役の刷新を求めた。推薦する取締役候補には、6月の大戸屋定時株主総会で選任を求めたコロワイドの蔵人賢樹専務らが入っているとみられる。  
一方、大戸屋の「円滑な再建を期す」ため、現取締役を複数留任させる人事案も同時に打診。15日までに両社で合意すれば、取締役全員を解任する提案を取り下げる。留任案に窪田社長は含まれていない。 
(時事通信 9月9日)

店内調理か、セントラルキッチン方式か。コロワイドと大戸屋ホールディングスの経営方針が対立した争点は、“調理思想”を巡る問題である。
一般に、店内調理のほうがセントラルキッチン方式よりもおいしいと思われている。“手作り神話”といえないこともないが、手作りという調理工程も味の構成要素のひとつと考えれば、店内調理に分がある。ただ、セントラルキッチンの精度も日進月歩で向上している。店内調理が勝っているのは、料理人の腕が良い場合に限るのではないのか。
コロワイドが仕掛けたTOBとは、要するに株式保有を巡る喧嘩である。どちらの主張に理があるかではなく、強いのはどちらか。良し悪しはともかく、資本の論理で決着する。
大戸屋経営陣も創業家の保有株式がコロワイドに譲渡されるとは想像していなかっただろうが、創業家がコロワイドを頼ったのはリベンジを視野に入れていたのかもしれない。結果として、創業家は留飲を下げただろう。
今後、大戸屋は役員だけでなく社員の退職も続けば、店内調理のノウハウも流出するが、セントラルキッチン方式に切り替えたいコロワイドにとっては、痛手になるとは思えない。
ただ、一連の騒動は大戸屋の社員にとっては迷惑千万で、一部の社員がTOB反対会見を開いたほどだ。相当数の社員が退職するだろうが、コロナ禍で雇用環境は厳しさを増している。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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