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労使協定書類の押印廃止 厚労省、企業の業務効率化後押し

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厚生労働省は2021年度から、残業時間に関する労使間の36協定(サブロク協定)など約40の企業の労働関係書類について押印の義務をなくす。テレワークが普及するなか、紙の行政書類に押印するために出社するといったケースがある。業務の効率化で企業の生産性を高める狙いだ。
裁量労働制に関する報告書などが対象になり、特に36協定が企業にとって影響が大きいと見込まれる。36協定の提出は労働基準法で定められており、19年の届け出件数は178万件に及ぶ。
法律で義務付けられているにもかかわらず、中小企業のなかには提言していないところも多い。 政府全体で行政関係書類の押印廃止を進めている。厚労省は当初、36協定の押印廃止については、中小企業に対して、内容の確認が甘くなるのではないかといった誤ったメッセージになる懸念があるとして慎重だった。
押印を廃止する代わりに、書類に労働側と合意した事実をチェックする欄を設けることで、実効性を担保する。
(日本経済新聞 9月7日)

 デジタル国家で知られるエストニアでは、雇用契約書の処理に要する時間はわずか数秒だという。エストニアのデジタル化を視察訪問する国は、ドイツと並んで日本が多いが、エストニアのデジタル水準に影響を受けたのか、日本政府もデジタル化に本腰を入れ始めた。
「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太方針)がもっとも重視する政策はデジタル・ガバメントの構築で、次のように記されている。

<我が国社会全体のデジタル化を強力に推進する。まずは、デジタル・ガバメントの構築を、早急に対応が求められる、言わば一丁目一番地の最優先政策課題として位置付け、行政手続のオンライン化やワンストップ・ワンスオンリー化など取組を加速する。また、民間部門のDXを促進し、民間の投資やイノベーションを誘発する環境づくりを進める>
押印廃止の流れは官民で加速する流れにある。書類処理の効率化だけでなく、印鑑偽造などの犯罪も発生しなくなる。
一方で、印鑑業界は苦境に追い込まれ、業態転換を迫られていくだろう。開運印相や凶相印を説く印相学も用をなさなくなっていくが、印鑑の相の良し悪しを信ずるかどうかはともかく、開運印には縁起物としてのおもしろさがあった。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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