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役員報酬1億円以上、トップは日立製作所の18人 昨年から1人増

ono20200908

8月31日17時までに2020年3月期決算の有価証券報告書の提出は日立製作所など6社。  これまで3月期決算の有価証券報告書の提出は合計で2392社。一方、3月期決算の有価証券報告書の未提出は13社となった。
 31日、17時までに報酬1億円以上の個別開示は、日立製作所の1社で、開示人数は18人だった。前年の17人より1人増えた。開示人数18人は、2018年3月期と同人数で、同社としては過去最多の人数に並んだ。最高額は東原敏昭執行役社長兼CEOの4億9500万円で、以下、アリステア・ドーマー副社長3億8900万円、中西宏明会長3億3,200万円と続く。  31日までの報酬額1億円以上の個別開示の累計は、社数255社、人数530人に達した。ただ、前年の社数281社、人数571人を下回ることが確実となった。
 役員報酬額1億円以上が開示された530人では、最高額は住友不動産の高島準司元会長で22億5900万円。基本報酬6500万円のほか、退職時報酬21億9400万円として過年度で支給が留保されていた報酬が支払われた。2位はソフトバンクグループのマルセロ・クラウレ副社長COOの21億1300万円、3位は武田薬品工業のクリストフウェバー社長の20億7300万円、4位はソフトバンクグループのラジーブ・ミスラ副社長の16億600万円、5位はトヨタ自動車のDidier Leroy元副社長が12億3900万円だった。
(8月31日 東京商工リサーチ)

 報酬額はエネルギーの源泉だが、上に厚く、下に薄く、というのが昨今の傾向である。卑近な例だが、役職が上がるほど自腹を切らずにすむ慣行がつづいている。
経営トップは業績の責任を背負っているから、破格な報酬にも合理性がある――そのとおりだが、赤字を出した場合やリストラを実施した場合には相応の上限額を設けないと、フェアな処遇とはいえまい。社内を分断させてしまう。
この記事に対しては、ネットにこんな書き込みがあった。
「赤字じゃ黒字じゃって騒いでる企業や30代で早期退職を募集している企業の輩が高額報酬じゃいたたまれないね」
「どんなに優秀でも、雇われ社長の大会社で一般の従業員の何十倍の貢献はありえない。そしていかに資質があり施策が圧倒的だとして、それを実行している従業員がいてこそ。」
 感情論といえばそれまでだが、会社側が黙殺するのは危険である。感情論はマグマのようなもので、社内に拡大して沸点を超えるとメディアに取り上げられ、株主も問題視するようになりかねない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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