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社員が副業先の残業を事前申告 政府、9月に新ルール

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副業をする人の残業時間について、厚生労働省は働く人が勤務先に事前申告するルールを9月から始める。働き手が本業と副業とでどう働くかを自由に検討できるようにし、副業を促す狙い。企業による就労時間の管理もやりやすくなるとみられるが、働きすぎる人が増える恐れもあり、厚労省は企業に健康チェックなどの充実を求める。
厚労省は8月中に副業・兼業の新たな指針を公表し、働く人に本業と副業それぞれの勤務先に残業の上限時間を事前申告するよう求める。例えば、月の残業時間の規制上限が80時間の場合、B社で30時間などと決め、それぞれの会社に伝える。
企業は申告された残業時間の上限を守れば、仮に社員の副業先の残業時間が規制の上限を超えても責任を問われない。副業先での労働時間が把握しづらい場合でも、社員の副業を認めやすくなる。
(中略)
 経済同友会の調査によると、副業を認める企業は2019年時点で全体の4割弱。認めていない企業の7割以上は労働時間の管理を理由にあげる。特に副業先での労働時間の把握が難しい。
(日本経済新聞 8月26日)

副業を促す環境整備は国レベルでも進んでいる。 さる8月27日、厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会で「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が了承された。
ガイドラインでは留意点として、以下の4点を列挙した。労働者については①就業時間が長くなる可能性があるため、労働者自身による就業時間や健康の管理も一定程度必要である②職務専念義務、秘密保持義務、協業避止義務を意識することが必要である③1週間の所定労働時間が短い業務を複数行う場合には、雇用保険等の適用がない場合がある。

一方、企業については、必要な就業時間の把握・管理や健康管理への対応、職務専念義務、秘密保持義務、協業避止義務をどう確保するかという懸念への対応を挙げた。
就業時間を管理するのは本務の雇用主が、副業・兼業の実態を把握しておくことが必須である。ガイドラインは「使用者は、副業・兼業に伴う労務管理を適切に行うため、届出制など副業・兼業の有無・内容を確認するための仕組みを設けておくことが望ましい」と提言している。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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