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すかいらーく、社員評価で宅配にも重み

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すかいらーくホールディングス(HD)は需要が伸びている宅配や持ち帰りサービスの品質を高める取り組みなどを社員の評価基準に新たに加えた。売上高に偏重していた基準を見直す。新型コロナウイルスの感染拡大で客足が戻らないなか、実情にあわせた店舗運営を目指す。
評価基準に、店舗の責任者などが新型コロナの感染予防策に積極的に取り組むほか、料理宅配で必要な数の配達員の確保を新たに加えた。これらで評価の10%を占めるようにする。
従来は店舗の売り上げの伸び率が評点の大半を占めた。だが新型コロナの拡大で客足の戻りが鈍く「消費動向が一変し、従来の評価手法が実態に合わなくなっている」(すかいらーくHD)と判断した。
店舗の売り上げで評価する指標についても、昼の営業時間の業績を従来よりも重視するようにする。
(日本経済新聞 8月23日)

実績数字だけで社員を評価すれば人参レースにおちいって、優勝劣敗人事が定着して社員同士の関係は「WIN-WIN」どころ「か「WIN-LOSE」に変質し、やがて「LOSE-LOSE」へと転落してしまう。組織の荒廃は必至である。
げんに、ノルマ至上主義の販売会社にこの通弊が散見され、ブラック労働現場を生み出す土壌にもなっていた。

この反省から、実績数字よりも、経営理念や行動基準をどれだけ遵守しているかに評価のウエイトを置くと表明する企業がつづいたが、多くの場合、昇進昇格の基準は従来どおりの実績数字だった。数字で定量化された基準でないと、社内の納得を得にくいからで、評価手法は微修正にとどまった。
ただ、すかいらーくホールディングスの例に見るように、売上増を期待できず、当面は売上回復に専念しなければ経営環境にあって、新たな評価指標が必要になったのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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