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医療・介護で求人増 負荷重く採用難

ono20200828

新型コロナウイルス禍の収束が見通せないなか、介護や医療の現場を支える人材のニーズが強まっている。介護関連の求人件数は2カ月連続で増え、医師にもPCR検査などの需要が出ている。ただ仕事の負荷の高さから就業をためらう人も少なくなく、現場を守る人材の不足が続いている。
人材サービス大手のディップによると「看護・介護」のアルバイト・パート求人は6月が前月比7.1%増、7月が同9.3%増えた。前年同月比で2.3%(25円)高かった。
以前から人手不足が深刻だった介護施設や特別養護老人ホームでは、コロナ禍で対応業務が増え、人手不足感がさらに強まった。他職種で求人が減るなか、施設側が積極的に採用に動いている。
飲食やサービス中心に職を失った非正規雇用者が介護系で求職する例も増えている。介護職派遣のニッソーネット(大阪市)では足元の求職者が前年比2倍に増えた。
(日本経済新聞 8月20日)

どれだけ社会経験を積んでいても、介護現場に就職すれば、あくまで未経験者である。要介護者に対する食事介助・入浴介助・排泄介助をはじめ介護業務に、スムーズに適応できることは稀である。多くの場合、他業種からの転職者は即戦力にはなりえない。しかも慣れてきても、要介護者を支えるという使命感をもたないと長つづきしない。雇用情勢が回復するまでの食い扶持という動機で介護業界に転職すれば、早々に撤退を余儀なくされる。

実際、リーマンショックのあとに、他業種から介護業界への転職者が相次いだが、業務になじめずにわずか数カ月で退職する例が多かった。当面の食い扶持として転職した本人だけでなく、雇用側の受け入れ態勢にも問題があった。

人手不足解消を急ぐあまり、最低限の研修を実施せずに現場に出してしまい、現場でも人手不足からOJTを実施できず、ミスマッチを自覚した本人が退職していく。こうしたケースが頻発した。その反省が活かされればよいのだが、コロナ対策から介護現場はこれまでにも増してひっ迫している。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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