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アマゾン、出社前提で3500人を追加採用

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米アマゾン・ドット・コムは18日、ニューヨークなど米6都市でホワイトカラー計3500人を追加採用すると発表した。新型コロナウイルスの収束後を見すえ在宅勤務ではなく出社を前提としており、オフィス拡張などに14億ドル(約1500億円)を投じる。
アマゾンによると技術者やクラウドインフラの設計者、データサイエンティスト、UX(ユーザー体験)のデザイナーなどの高度人材を増強する。テキサス州ダラスやミシガン州デトロイトなどでオフィスを拡張。社員に無期限の在宅勤務を認める米ツイッターなど他のネット大手とは対照的な動きとなる。
(中略)
 アマゾンは自宅で働ける従業員に対しては2021年の年明けまで在宅勤務を認めている。ただ、物流施設や小売店では新型コロナの感染拡大局面でも多く・の人が施設で勤務を続けた。ホワイトカラーだけが在宅で働き続けることには社内から反発もあるとされ、いずれは多くの従業員を通常の勤務に戻す考えとみられる。
「コロナ後」を見すえた働き方をめぐって、米ネット企業の判断は割れている。ツイッターやスラック・テクノロジーズなどは人材獲得に有利になるとみて無期限で在宅勤務を認める一方、直営店などを抱えるアップルは段階的に従業員をオフィス勤務に戻す方針だと報じられている。
(日本経済新聞 8月19日)

在宅勤務ができるかどうかは、社内の就労環境に格差を生み出す要因にもなりかねない。ライフスタイルを優先させた遠隔地での就労も可能になる在宅勤務社員に対して、現業部門の社員は出勤しなければ業務が成り立たない。
通勤から解放された在宅勤務社員を傍目に、出勤社員は、通勤をこれまで以上の苦役と受け取るようになるだろう。一方で在宅勤務には、対面コミュニケーションが封じられた閉塞感が発生する問題もあるが、出勤社員にはなかなか実感しにくい。
在宅勤務には通信コストが発生することから、手当を支給する企業がつづいている。報道された例を挙げると、ソフトバンクが月4000円、富士通が月5000円、コロナスタイルが月1万円、ヤフーが月最大7000円、ドワンゴは月2万円――この手当支給も、出勤社員の目には不公平と映るかもしれない。
こうした歪みの修正もさることながら、在宅勤務には通勤時間の削減や居住地選択の幅拡大などのメリットの一方で、現場感覚が薄れてしまうデメリットが否めない。利便性から腰が重くなってしまい、現場を踏査する機会が減っていくうちに、判断力が鈍ることも考えられる。
職場の実情に合わせて、出勤と在宅のバランスを見出す動きも出てくるだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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