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金沢大学、首都圏人材を県内に

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金沢大学は10月、北国銀行などと共同で首都圏で働く転職希望者を石川県内の企業に送るプログラムを始める。専用サイトで転職希望者を募集。選考を経た上で金沢大が客員研究員として受け入れる。週3~4日県内の企業に出向いて課題などに取り組み、週1日以上金沢大で地域の経済や商慣習を学ぶ。全国企業振興センター(金沢市)と北国銀行が参画企業と人材のマッチングを仕掛ける。プログラム終了後は県内移住につなげる。
(日本経済新聞 8月12日)

地方の企業が首都圏人材の転職を受け入れるには、まずは地元出身者が有力な対象者になるのではないか。この仮説について、独立行政法人労働政策研究・研修機構が、次の2点を解明した。

・出身市町村へのUターン希望は、地元にどの程度愛着を持っているかに大きく左右され、出身地を離れても愛着を持ち続けている人ではUターン希望も持ちやすい反面、出身地に愛着が乏しい場合には、Uターン希望も生じにくい。
・出身地を離れる前に地元企業をどの程度知っていたかもUターン希望に関係する。高校時代までに地元企業をよく知っていた場合にUターン希望が多くみられ、地元企業を知らなかった者ほどUターン希望も少ない。進学等で出身地を離れる前に、地元企業の存在を知る機会があると、後々にUターン希望にもつながる。

上記の分析のポイントは地元高校への通学である。地方では生徒数減少を理由に高校の統廃合が進んでいるが、高校が廃校になった地域は一気に衰退してゆく。Uターンどころではない。一方、地元高校の大学進学状況が芳しくないと、中核都市の進学校に越境入学する生徒が増えてくる。地元高校の学力を向上させ、生徒数を確保し、高校を存続させることが、地方創生の鍵を握っている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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