Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

ワールド、希望退職200人募集 一部ブランド廃止、358店舗を閉店

ono20200811

アパレル大手のワールドは8月5日、ブランドの統廃合や低収益店の撤退、希望退職募集を実施する構造改革を発表した。希望退職者は40歳以上の200人を募集。一部のブランド廃止などにより、計358店舗を閉店する。新型コロナウイルスの影響で事業環境が一変したことから、改革スピードを加速。収益力の抜本的な向上を目指す。
 同社は5年前から構造改革による合理化を進め、財務体質の改善を図ってきた。2021年3月期からも3カ年の中期計画で構造改革を段階的に進める方針だったが、新型コロナで状況が一変。「危機をきっかけに、ファッション産業に内在していた供給過剰の矛盾が一気に現実化したと認識」(同社)しており、事業を立て直すためには改革のスピードを加速せざるを得ないと判断した。  
(中略)
 希望退職募集は、従来の計画では人員の配置転換などを含めて段階的に取り組む予定だったが、新型コロナの影響で大幅に前倒しすることにしたという。対象者は、11月20日時点で40歳以上の社員。しかし、店舗従事者(販売員)は対象外で、再配置となる。9月14日~30日に募集し、退職予定日は11月20日(あるいは21年3月末までで会社が指定する日)。退職希望者には退職金に加えて、特別加算金を支給する。
(ITmediaビジネス 8月3日)

厚生労働省の集計によると、新型コロナウイルスの影響で解雇・雇い止めにあった人は7月31日時点で4万1391人。業種別では製造業が最も多く7003人。次に宿泊業の6830人、飲食業の5595人と続いた。

製造業は雇用者数が多いので、秋以降に大量の失業者が発生しかねない。巣ごもり需要を開拓して業績を伸ばしたIT企業が求めるのは若い人材だから、おそらく40歳以降は再就職がなかなか見つからない。

では、どこに職を求めることになるのか。総務省の労働力調査によると、医療・福祉に対して他業種から労働力が移動している傾向が読み取れる。コロナ禍にあって、医療・福祉はさらに労働力を求めている。人材紹介会社のなかには50歳を過ぎた求職者に対して、介護職の求人を案内する場合もある。

リーマンショックのときにも同様の労働力移動があった。だが、他業種から介護職への転職にはミスマッチが目立ち、早期の離職が頻発した。畑違いの転職ゆえに即戦力にはならないのだから、受け入れ体制の工夫が必要だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。