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夏の賞与3年連続90万円台 大手企業 2年連続減少も高水準

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経団連が5日発表した大手企業が支給する夏のボーナス(賞与・一時金)の最終集計によると、平均額は90万1147円で、前年を2・17%下回った。減少は2年連続だが、90万円台の高水準を3年連続で確保したのは昭和34年の統計開始以来初めてとなった。  
今回は18業種153社が回答し、組合員数は約93万人。6月中旬に公表した86社が回答した第1回集計では6・00%の大幅な減少となっていたが、その後、ボーナスを増額させた企業の回答が相次ぎ、マイナス幅は縮小した。  
新型コロナウイルス感染拡大による景気減速や企業業績への打撃について、経団連の担当者は、回答企業の約6割が年間のボーナス支給額を一括して3月の春闘妥結時に決定しているため、夏のボーナスへの影響は限定的だったと分析。コロナの影響は、冬のボーナス以降に顕著になるとみている。  業種別では、紙・パルプが7・57%増、印刷が5・17%増など5業種が増加した一方、ホテル、鉄鋼が20%を超える減少率となっている。
(産経新聞 8月5日)

一般に夏のボーナスに対する業績評価対象期間は前年9月から当年3月、冬のボーナスは当年4月から9月までが対象期間である。
新型コロナは大手企業の夏のボーナスには、ほぼ影響を与えていない。ただ、この春以降、日本経済新聞の投資情報面を開くと、4~6月期は減益決算のオンパレードだ。冬のボーナスには影響がおよび、大幅ダウンやカットが続出するだろう。
それでも歴史に残る経済危機の渦中では、雇用が維持されているだけで御の字だ。これまでは大手企業の退職者に対して、中小・ベンチャー企業という雇用の受け皿があったが、今回は産業界全体が冷え込んでいる。
いまや賞与カットやリストラを織り込んだ働き方を考える時代になった。ポジティブシンキングには反するが、最悪の事態を想定した生活設計が問われるのではないのか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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