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あいおいニッセイ、デジタル人材に年収2000万円

あいおいニッセイ同和損害保険は主にデジタル分野で高度な専門知識を持つ人材の採用を強化する。10月から専門社員職を新設し、能力次第で年収2000万円以上を提示する。金融業界ではビッグデータを活用して新事業につなげる動きが活発化している。他社に見劣りしない報酬を提示し、高度専門人材の獲得をめざす。
新設する専門社員職はデータサイエンティスト、サイバーセキュリティー人材、弁護士、公認会計士、アクチュアリー(保険数理人)を対象とし、能力に応じて1~4階級に分ける。専門社員は専門性の高さや担う職務に応じて処遇を決める「ジョブ型」雇用とする。
最も専門性が高く経営判断も担える1級の人材は個別に年収を設定するが2000万円以上の待遇にすることを想定している。2級は部支店長級の処遇で年収1800万円程度とする。
9月をメドに採用活動を始める。専門社員の採用人数は未定だが、すでに働いている専門性の高い社員の登用も含めて10~20人程度とすることを想定している。
(日本経済新聞 7月6日)

 年収2000万円など専門職の厚遇にスポットを当てた記事だが、あいおいニッセイ同和損害保険が発表した人事制度改定は、もっと幅が広い。改定の柱は「転居可否選択の柔軟化」「専門社員区分の新設」「昇格年次要件の廃止」の3点。この記事に書かれたことは専門社員区分の新設に関する情報である。
 改定の目的は、社員のスキル向上や、一層エンゲージメント高く働ける環境を整備するため、多様化する社員の就業観への対応という。
転居可否選択の柔軟化では、転居可能な範囲に応じて「全域型」「広域型」「地域型」と設定していた社員区分を「基幹社員」に統合し、 本人が転居をともなう人事異動の可否を毎年選択することが可能となる。
同社は「社員が活躍できるフィールドを広げるとともに、本人の希望に沿わない転居を無くすことで、個々の 事情に応じて働けるようになる。ワーク・ライフ・マネジメントの実践につながる」と期待している。
昇格年次要件の廃止では、 非管理職層の資格区分を 6 区分から 4 区分に変更したうえで、資格ごとに定めている昇格可能な年次要件を廃止。上位役職への早期昇格を可能とするので、現行制度では30代後半である管理職への登用が20代でも可能となる。
この人事改定を俯瞰するとジョブ型人事への移行と見ることができるだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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