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企業の人手不足感、新型コロナウイルスの影響で急激に低下

20200602

2019年度の人手不足倒産は前年度比14.8%増の194件となり、6年連続で過去最高件数を更新するなど、人手不足が企業活動に及ぼす悪影響は深刻になっている(帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2019年度)」)。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響で企業活動が制約されたことで国内景気が急速に悪化しており、従業員の雇用など「ヒト」に関する動向が注目されている。 そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。
現在の従業員の過不足状況を尋ねたところ、正社員について「不足」していると回答した企業は31.0%となった。2019年4月の前回調査と比較すると19.3ポイント減少し、4月としては4年ぶりに4割を下回り、人手不足割合は大幅に減少した。「適正」と回答した企業は47.2%で同5.9ポイント増加し、企業の半数弱が人手は適正であると感じている。「過剰」と回答した企業は21.9%で同13.5ポイント増となった。
(帝国データバンク 5月26日)

この数年、人手不足問題は産業界の最大の課題だった。たとえば飲食店チェーンは人手を確保できないために新規出店ができず、介護事業者は有資格者の法定人数を満たせずに介護報酬を算定できない。そんな事例に事欠かなかった。

人手不足から受注減を余儀なくされた挙げ句、経営が破綻する人手不足倒産も増加傾向にあった。
ところがコロナ問題で局面が一変し、求人数が減少し、失業率が増加した。コロナ問題が収束するまで2年程度を要するという見方もあるが、その間は、経済活動の停滞がつづく。女性活用、高齢者活用、外国人雇用などの人手不足解消策も、トーンダウンしてゆく。

このうち外国人雇用では、賃金相場が上昇する兆候が出はじめた。予想されていた事態だが、ベトナムでは経済発展によって賃金相場が上昇し、月額8万円程度の職も現われたために、月12~13万円程度の賃金では日本で就労する動機に結びつかなくなりつつあるという。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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