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厳しさ増す中小企業の「後継者難」倒産

東京商工リサーチ(東京都千代田区)2023年5月17日に発表した「後継者難」倒産の調査結果を見てみると、2023年4月の後継者不足を原因とする企業の倒産研修は43件と2013年以来最多。
同社によると「後継者不在による企業の倒産や廃業は、一企業の問題だけでなく地域経済にも影響を及ぼしかねない」と説明し、経営者には日々の売上や資金繰りに忙殺されることなく、後継者を育成する意識を持つように説いている。
 この調査は、同社の行った「人手不足」関連倒産(後継者難・求人難・従業員退職・人件費高騰)から2023年4月の「後継者難」倒産(負債1000万円以上)を抽出し、分析したもの。
はじめに、2023年4月の後継者不在に起因する「後継者難」倒産(負債1000万円以上)の数字を見てみると、前年同月比16.2%増の43件であった。4月としては前年同月を上回り、調査を開始した2013年以降では、2020年の38件を超えて4月の最多件数を記録した。
2022年の経営者の平均年齢は63.02歳(前年62.77歳)で上昇が続く。一方で、2022年の「後継者不在率」調査では約6割(59.9%)の企業で後継者が未定だった。(J-CASTニュース 5月22日)

フランチャイジーのオーナーも世代交代期を迎えている。世代交代が滞ればチェーン全体が衰退しかねない。
モスフードサービスは「次世代オーナー育成制度」によって世代交代を進めている。同社ではFCオーナーで構成される「モスバーガー共栄会」が全国20の支部体制で、情報交換や相互啓発、モラールアップを目的に活動し、本部がサポートしている。
共栄会が発足したのは1980年。オーナーの年齢分布は公開されていないが、世代交代に迫られているオーナーも少なからずいるのだろう。
同社は「かねてよりスムーズな事業承継による加盟店オーナーの若返りを進めています」と表明し、2003年から事業承継や社員独立などを対象に「次世代オーナー育成研修」を運営し、21年度に15名が受講し、累計で233名が修了している。
さらに22 年には「アスリート経営者 育成プロジェクト」を発足させた。独立・開業を前提に引退後のアスリートを採用し、入社後は100%出資店舗運営子会社のモスストアカンパニーに出向し、店舗で経験を積みながら各種研修を経て、経営者に必要なスキルとマインドを学んでいく。独立する際には、加盟金の減額や開業資金の補助などの支援を行う。
おそらくコンビニエンスストアのFCオーナーも、世代交代期を迎えているのではないのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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