Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

「不可欠職種」の求人逼迫 看護師自給2割増 SE求人7割増

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、医療・介護やIT(情報技術)分野など対応に人手が不可欠な職種で派遣社員やアルバイトの時給や求人が急伸している。看護師の派遣の時給が3月は前月より2割近く上昇。在宅勤務の拡大でシステムエンジニア(SE)の派遣の求人は前年同月比で7割弱増えた。4月も高水準にあり、こうした人材の逼迫は続きそうだ。
人材サービス大手のエン・ジャパンによると、医療機関などで働く「看護師・准看護師」の派遣スタッフは3月の募集時平均時給(三大都市圏)が1903円。2月に比べ19・5%(310円)上がった。前年同月比でも6・1%(110円)高い。求人件数は前年同月比で26%増えた。
(中略)
新型コロナの影響で人手不足が深刻なのは医療や介護だけではない。テレワークの急拡大でIT環境の整備や運用・保守にあたるIT系人材の派遣需要も急増している。
エン・ジャパンによると、「社内SE」の3月の求人は前年同月比に比べ67・3%増えた。「運用管理・保守」は57・3%増。4月も2ケタ増が続きそうだ。
(日本経済新聞 5月10日)

新型コロナウイルス感染症を担当する多くの看護師は「3つの感染症リスク」にさらされているという。「3つの感染症リスク」は、日本赤十字社が作成した「新型コロナウイルス感染症に対応する職員のためのサポートガイド」に整理されている。

第一の感染症は生物学的感染症で、ウイルスによって引き起こされる「疾病」。第二の感染症は心理的感染症で、見えないことや治療法が確立されていないことで感じる「不安や恐れ」。第三の感染症は社会的感染症で、不安や恐怖が生み出す「嫌悪・差別・ 偏見」である。

これら3つのリスクに加えて、従来から続いている看護師不足が、看護師に一層過酷な状況を強いている。日本看護協会は看護職確保策として、日看協が運営する中央ナースセンターに復職希望を登録している約5万6000人の潜在看護師に、学校の臨時休業に関連する代替職員募集のメールを一斉配信して、看護師の確保に努めている。

一方、潜在看護師という人材供給源をもつ看護師と違い、IT系人材はどこに供給源を求めるのだろうか。人件費を引き上げるだけでは限界で、在宅勤務の導入や副業の認可など多様な働き方を保障する処遇も必要だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。