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外国人実習生、コロナで解雇

ono20200518

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本で働く外国人技能実習生の人材のミスマッチが表面化している。サービス業などで解雇が始まる一方、農業では入国規制の影響で人手の確保が厳しい。法務省は解雇された実習生の異業種への転職を特例として認めたが、実習生が自ら新たな受け入れ先を見つけるのはハードルが高い。政府や自治体による転職先の仲介などの支援が不可欠だ。
日本で働くミャンマー人でつくる在日ビルマ市民労働組合(FWUBC)には、4月以降、ミャンマー実習生から「コロナを理由に解雇を通告された」との声が相次ぎ寄せられている。長野県では昨夏来日した20~30代のミャンマー人8人が受け入れ先の向上やホテルから、業績悪化を理由に合意退職を受け入れる文書への署名を強要されたという。
(中略)
全国の労組やNPO法人などにも解雇された実習生からの相談が寄せられており「休業に伴い給与を半分以下に減額された」などの声もある。
(日本経済新聞 5月9日)

外国人技能実習生は制度の趣旨こそ「実習」で、雇用の調整弁として制度を使用してはならないことが示されているが、当初から形骸化されている。

厚生労働省は繰り返し制度の趣旨を説明して、周知徹底を図ろうとしてきたが、人手不足の前にはほとんど成果が得られなかった。担当官は全国を駆け巡って、懸命に制度への理解を求めていたが、「喉から手が出るほど人手が欲しい」というホンネを容認せざるをえなかったのかもしれない。

雇用の調整弁として実習生が受け入れられた以上、受け入れ先の業績が悪化すれば、真っ先に解雇されることは誰にでも想像がつく。派遣切りの前に着手されるのが、実習生をはじめ外国人労働者の解雇である。

この実態が残酷物語のように報道されることもあるが、諸外国でも同様に、自国の労働者よりも先に外国人労働者が合理化の対象になる。本来、労務トラブルを招かないように事前に退職要件などをていねいに説明すべきだが、相手国の送り出し機関も、日本の監理団体も、そこまで手間をかけるとは思えない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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