Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

ANAグループ、21年度採用を一時中断 新型コロナ影響で

0515t

全日本空輸(ANA/NH)をはじめとするANAグループは5月8日、2021年度入社の新入社員採用を一時中断すると発表した。中国から拡散した新型コロナウイルスの感染拡大によるもの。採用再開の時期は、今後の動向を見極めながら検討するという。
ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のANAやピーチ・アビエーション(APJ/MM)などANAグループでは3月以降、グローバルスタッフ職(旧総合職)や客室乗務員など800人程度、ANAエアポートサービスやANA成田エアポートサービスをはじめとする国内各空港で地上係員など空港業務を担う各社で1750人程度など、グループ37社合計で約3200人を募集していた。応募者には各社の採用担当者から連絡するという。
現在のグループ社員は約4万5000人。ANAは、4月1日から客室乗務員の8割に当たる約6400人の一時帰休が始まり、緊急事態宣言発令から一夜明けた8日からは間接部門3000人も対象に加わった。4月末でグループ22社3万5000人だったが、5月末には35社4万2000人に拡大する。(Aviation Wire 5月8日)

新卒採用では今春採用の内定取り消しが深刻な問題だが、来春には採用を停止したり、採用数を激減させる企業が結構な数に上るのではないだろうか。就職氷河期の再来である。

就職氷河期という言葉はリクルート社の「就職ジャーナル編集部」による造語だが、ネーミングのセンスに長けた同社ゆえに、コロナショックにともなう就職難の時期についても、一般化する造語を発表するかもしれない。

就職氷河期世代はすでに40代に入ったが、非正規雇用で社会人生活をスタートせざるを得なかった人も多い。非正規雇用の継続によって単純労働の機会しか得られず、キャリア形成ができないために、正規雇用への道を閉ざされてしまう。

そのまま40代に入ると、今度は早期退職の年代に該当してしまい、ますます正規雇用は遠のいてゆく。

来年以降の新卒者にも同様の事態が起こりかねない。

地方創生の議論では、少子化対策として「非正規雇用→正規雇用→結婚→出産」というシナリオが提示されたが、議論された当時、氷河期世代は30代だった。正規雇用のチャンスを得られるギリギリの年代だった。

いまは正規雇用による地方創生シナリオを描きにくい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。