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観光人材流出の危機 客激減で転職検討も

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ホテルなど観光産業が人材流出の危機にある。新型コロナウイルスの感染拡大で国内外の観光客が激減し、転職を考える人が増えた。観光以外に人材が流れると、「コロナ後」の観光再生は一段と見通しにくくなる。
京都市のある旅館には、宿泊予約でなく面接の申し込みの電話が頻繁にかかってくる。「コロナの影響で閉館した旅館の働き手が問い合わせてくる」。京都の観光業界は人手不足が慢性化している。4月から休館中のこの旅館も「よい人材なら採用したい」という。
東京商工リサーチによると、コロナの影響で経営破綻した企業は21日までに78件、うち宿泊業は14件で最も多い。人材大手エン・ジャパンの転職サイトでは2020年1~3月期の観光業関連の登録数が前年同期比45%増の6916人。おおむね4千人程度で推移してきたが、転職希望者が過去最高水準に増えた。(日本経済新聞 4月23日)

観光関連企業に限らず、コロナショックで大打撃を受けた企業からの人材流出は加速するだろう。当然、転職先は他業界が多くなるはずだが、他業界や他職種への転職に幅広く臨めるかどうかは、ポータブルスキルをもっているかどうかにかかっている。

厚生労働省によると、ポータブルスキルとは「業種や職種が変わっても持ち運び可能な能力」。仕事の仕方、人との関わり方、専門知識・専門技術の3つで構成されている。

仕事の仕方は「課題を明らかにする」「計画を立てる」「実行する」の3つに分類され、
人との関わり方は「社内対応」「社外対応」「部下マネジメント」。これに「専門知識・専門技術」が加われば、たしかに業種・職種を超えて活躍できるのも頷ける。

プロ経営者という言葉はいささか軽佻浮薄だが、異業界の社長職を渡り歩いて一定の成果を収める人は、高度なポータブルスキルをもっている。仕事のできる人はどこへ行ってもできる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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