2020/04/21
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、自治体の間では、企業の内定を取り消されたり職を失ったりした人を臨時職員として採用する動きが広がっている。
困っている住民らを救済する面もある一方、コロナ対応に追われる自治体のマンパワー不足を補う側面もあるようだ。
神戸市は3月、内定取り消しを受けた学生と、離職を余儀なくされた一人親家庭の市民を対象に、それぞれ採用枠を100人ずつ設けると発表。募集を始め、今月8日時点で1人が働いている。人事課は「離職者は今後増える可能性があり、随時受け付けている」とPRする。
「雇用も守りながら、役所のマンパワーも増やしていきたい」。大阪市の松井一郎市長はこう述べ、今月中にも1年の任期付きで臨時職員を50人程度募集する考えを表明。大阪府も50人程度募集する。
神奈川県は「取りあえず100人くらい」(黒岩祐治知事)の採用を表明。通常の任期は1年で、最大3年まで延長されるが、「優秀な方はそのまま県職員に登用する道もつくっていきたい」。
(時事通信 4月13日)
災害発生時に必ず浮上するのが行政機関のマンパワー不足である。職員は疲弊し、稼働が停滞してしまう。つれて行政批判が拡張されると、使命感をもって献身的に働く職員の士気も低下しかねない。
自治体がどれだけ人件費を確保できるかにもよるが、有事に備えた人員補充は必要だろう。
平時にあっても、とくに健康福祉分野はマンパワー不足で、高齢化によって需要が拡大している医療、介護、障害福祉など多岐にわたる業務を十全にこなせていない自治体が少なくないという。
このところニュースがつづいている自治体の職員雇用の目的は失業対策だが、マンパワー強化にも寄与する。雇用された職員は、民間企業の雇用がいかに不安定かを経験したので、雇用の場を得たことで、献身的に働くことを期待できるのではないだろうか。
さらに雇用期間が1年でも、むこう1年間の仕事を確保できたことは、職探しをつづけるよりは不安の解消にプラスだろう。
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