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コロナ苦境に臨時ボーナス 長崎の高級カステラ会社「人が財産」

20200417

新型コロナウイルスの影響で収入が落ち込む従業員の暮らしを下支えしようと、長崎県南島原市有家町のカステラ製造「須崎屋」(伊藤剛社長)は、勤続4カ月以上の従業員25人に一律5万円の臨時ボーナスを支給した。中小企業がコロナ対策で現金を支給するのは全国的にも珍しいという。
菓子を作って約150年の同社は5年前に伊藤社長(51)が6代目を継ぎ、高級カステラの「五三焼(ごさんやき)」製造に特化した。普通のカステラは卵の黄身と白身の割合が5対5だが、五三焼は5対3で濃厚な味わいが特徴。ふっくら焼き上げるのが難しいため職人の手焼きにこだわり、販路を首都圏の百貨店などに拡大し売り上げを伸ばしてきた。
しかし新型コロナウイルスの流行に伴う景気の悪化で2月から生産調整に入り、パート中心の従業員の給料が減少。伊藤社長は「人材は会社の財産」として初めての臨時ボーナス支給を決め、3月25日に現金で5万円を手渡した。勤続4カ月未満の5人には1万~3万円を支給した。(西日本新聞 4月11日)

昔から「中小企業は日本の宝」といわれるが、須崎屋はその良い見本である。
会社案内やホームページに「人材」でなく「人財」と書く企業は珍しくないが、問われるのは業績が悪化したときに、従業員に対する処遇をどうするか。
ビジネスライクに合理化するのか、それとも手を差し伸べるのか。その判断いかんで、雇用への考え方が見えてくる。誠意が伝われば、従業員も奮闘して奇跡的な業績回復を導く。従業員が会社を守ろうと奮闘すると、さまざまなアイデアが湧き出て、収益に結びつくことが多い。イノベーションが起きやすいのだ。
当然、その過程で従業員のスキルは飛躍的に高まってゆく。次の発展段階にも進みやすい。
一方、従業員を守り切る企業は、仕入先にも心ある取り引きをつづける。だから、ときに無理にも応じてくれ、「このお得意先についていこう」と品質の向上に励むものだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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