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役員報酬返還制度を導入 武田、経営責任を明確化

ono20200410

武田薬品工業は1日、決算内容の重大な修正や不正があった場合に役員報酬を会社に返還させる「クローバック制度」を導入すると発表した。不正などが発生した年を含め4年分の報酬を返還するよう要求できる。日本では役員報酬に占める業績連動分の比率が高まり、経営陣の報酬が増加。その分、株主の経営責任への視線は厳しく企業側も対応を迫られている。
1日付で導入した。きっかけは昨年の株主総会で提出された株主提案だ。同制度の導入を求めた定款変更の提案に52%の賛成票が集まった。出席株主の3分の2以上の賛成が必要な特別決議のため否決されたが、賛成が過半数に達した点を重視して導入に踏み切った。
2015年に上場企業への適用が始まったコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)では、経営者に企業価値向上を促す報酬制度の整備を求めた。
報酬コンサルタントのペイ・ガバナンスによると、日本の主要企業の最高経営責任者(CEO)が受け取った報酬(退職慰労金を除く)は18年度に変動分が固定分を上回った。これに伴い報酬額も増加傾向だ。デロイトトーマツの調査では、売上高1兆円以上の日本企業における社長の報酬額(中央値)は19年度に9946万円で前年度を0.9%上回った。
(日本経済新聞 4月1日)

かつて「社長の年収は新入社員の7倍」といわれた時代もあった。新入社員の年収が300万円なら社長の年収は2100万円である。

いまでも中小企業なら、こうした例は少なくないが、この記事にデロイトトーマツ調査で社長の報酬額の中央値は9946万円と報じられているが、大手企業の社長なら年収1億円超が相場である。
業績悪化や不祥事で引責辞任しても、退職慰労金を含めて相当な財産を手にする。傍目には“退場”でも、経済的にはゴールデンリタイヤだ。この実態は、収入減やリストラを強いられる社員からみれば“もらい逃げ”で、不平等このうえない。

実力で手に入れた役得の行使といえばそれまでだが、身分の高い人は身分に応じた高い社会的責任を果たすべきであるという「ノブレス・オブリージュ」の精神には縁遠い。その意味で、役員報酬返還制度の普及は望ましい。

本人にとっても、ひとたび懐に入れた報酬を返還するのは堪らなく嫌だろうから、規範意識が高まるに違いない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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