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在宅勤務「嘘つかない組織」カギ 青野慶久サイボウズ社長

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――新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全社員に在宅勤務を求めました。
「不都合はない。普段から各自のスケジュールをグループウエアで公開し、顧客やタスクリストも共有している。社内でコミュニケーション不足にならない仕組みを作ってきた。在宅でもオンラインでつながっているので、横の席か画面の向こうかという差しかない」
「私も一斉休校で子どもの面倒を見る必要があり、在宅勤務だ。社長室で朝9時から開く朝会はオンラインでやっている。郵便物の受け取りや判子を押すなど出社しないとできないことも確かにある。希望者は出社してもいいことにしているが、出社人数の上限を設けて社内で感染が起きないようにしている」
(中略)
――在宅勤務が機能するポイントは。
「普段から誰かが何の仕事をしているか可視化することだ。サイボウズの出社率は普段から7割程度。ある曜日だけ在宅勤務といった社員も多い。多様な働き方を受け入れると、連携しなければそれぞれの仕事は成り立たない。そうなると情報共有が徹底される。困っていれば発信できるチームワークは必ず必要。あとは社員が嘘をつかなくていい組織風土づくりだ」
(日本経済新聞 3月27日)

サイボウズの在宅勤務が機能しているのは、青野社長自身が率先して実行しているからだ。社長がみずから実行すれば、在宅勤務の運営ポイントを把握できる。

同社が多様な働き方を定着させた背景は、設立当初に社員の離職率が高く、定着を促進することだった。定着に至るまでには試行錯誤があったのだろうが、在宅勤務体制の定着は多様な働き方だけでなく、危機管理にも強いことを示した事例である。

さらに青野社長がこのインタビューで述べた「社員が嘘をつかなくていい組織風土づくり」も大切だ。社員同士が離れて働くには信頼関係が大前提だが、信頼関係の絶対条件はごまかしや嘘がないことである。

「嘘をつかなくていい組織風土」が形成されていれば、会社は社員に対して性善説で向き合える。在宅勤務に移行しても仕事ぶりに疑念をもたずにすむ。

ただ、政府や都道府県がいくら在宅勤務や時差出勤を要請しても、工場、飲食店、小売店、運送現場、建設現場などの就労者は対応できない。通常通りに出勤するしかない。

新型コロナウイルス対策を契機に、就労者には「正規社員と非正規社員」「給与所得者とフリーランサー」という区分けに「出勤者と在宅勤務者」という区分けが加わるだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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