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内定取り消し、相次ぐ悲鳴 救済に乗り出す企業も 新型コロナ

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新型コロナウイルスの感染拡大で、業績悪化を懸念した企業から内定を取り消されるケースが相次いでいる。
新生活のめどが立たず、就職活動中の学生らから悲鳴が上がり、政府も実態把握に動きだした。

「コロナの影響で仕事がなく、新卒を雇う余裕はない」。ウエディング会社に就職が決まっていた岐阜県の女子短大生(20)は9日、採用担当者から電話で突然、内定取り消しを告げられた。「就活に費やした分のお金や人の人生を何だと思っているのか」と憤る。
宮城県の男性(28)は、携帯電話の販売代理店への転職が決まった数日後、「感染被害削減」を理由に採用を撤回された。業績悪化による採用中止の口実に「感染」が持ち出されたのではないかとの疑念を抱く。
(中略)
内定取り消しの動きには政府も懸念を強める。衛藤晟一1億総活躍担当相は13日、「詳細の把握をできるだけ早く行いたい」と述べ、実態把握を急ぐ考えを示した。
一方、こうした状況をチャンスとみる企業もある。子育て層向けアプリの企画開発会社「カラダノート」(東京都港区)は12日、内定を取り消された学生を対象に採用選考を始めた。「ピンチを乗り越え、就職活動に取り組む人は行動力がある」(彦坂真依子広報室長)と評価し、優秀な人材獲得の機会ととらえる。
(時事通信 3月16日)

産経新聞(3月19日付け)によると、加藤勝信厚生労働相は19日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大による今春就職予定の学生らの採用内定取り消しについて、18日時点で13社21人分の通知があったと述べた。

意外に少ないという印象である。実際はもっと多いのではないか。会見で加藤氏は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない採用内定の取り消しは無効とされている」と指摘したというが、コロナウイルの感染拡大による経営悪化は「合理的な理由」に該当する。

ただ、いきなりの採用内定取り消しは来年度の採用活動にも大きく響く。コロナウイルスによる被害は気の毒だが、企業イメージの悪化は避けられない。雇用を守り切れなかったという事実が知れわたり、学生は取り消した企業を応募対象から外すだろう。
もちろん、そんな一般論は承知のうえで、採用内定を取り消さざるをえないのが実情だと推察する。それほどコロナショックは多くの企業の経営を直撃している

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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