2020/03/02
外国人労働者の受け入れを拡大する在留資格「特定技能(きょうのことば)」の利用が伸び悩んでいる。日本経済新聞の集計では、海外での試験で2月中旬までに合格が判明したのは2400人強で、最大4万人程度だった2019年度の政府の受け入れ見込みを大きく下回る。海外合格者の第1陣は4月にも来日するが、アジア諸国からは日本の拙速な制度導入へ批判の声も上がる。
対象14業種のうち、最も合格が多かった介護は19年4月のフィリピンに続いてカンボジア、インドネシア、ネパール、モンゴルでも試験が実施され、約3千人が受験。合格者約1400人の85%をフィリピンが占めた。
外食ではフィリピン、カンボジアで試験が行われて326人が合格。宿泊やビルクリーニングはミャンマーで計198人が合格した。3月には建設などの試験が行われ、全14業種が出そろう。
(日本経済新聞 2月22日)
そもそも外国人労働者の受け入れに、目標人数を設定する必要はないだろう。
外個人技能実習制度が批判の的になったのは「実習」という建前から、「雇用」と違って就労先を変更できない、つまり転職ができないという縛りがあることだった。この縛りを外した特定技能は、労働者本人にとって技能実習制度に比べてベターだが、雇用主にとってはどうだろうか。
地方の雇用主が懸念しているのは、せっかく雇用しても、いずれ賃金水準の高い都市圏に転職してしまうことが想定されることである。この懸念がある限り、技能実習制度のほうが都合がよいと考えている雇用主は多い。
すでに地方の若者は都市圏に流出してしまい、その穴埋めとして外国人を雇用するというシナリオだが、特定技能の仕組みを知れば、転職不可能の技能実習制度の活用には向かわないだろう。
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