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オンワード、希望退職に413人応募 予定を2割上回る

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アパレル大手のオンワードホールディングス(HD)は7日、1月に実施した希望退職の募集について、413人が応募したと発表した。同社の予定数(約350人)を約2割上回った。特別退職金などの費用として、2020年2月期に約39億円の特別損失を計上する見込み。
希望退職者はHD全体の約8%に当たる。同社は1月7日~30日に、40歳以上で勤続3年以上の社員(販売職を除く)を対象に希望退職を募った。退職日は2月末で、退職者には退職金を加算するほか、希望があれば再就職支援も行う。
オンワードは売上高の約6割を百貨店での販売で占める。ただ百貨店の客離れやアパレル不振が続くなか、業績低迷に陥った。19年10月には百貨店内の店舗を中心に、国内外の店舗の約2割となる600店を閉鎖すると明らかにするなど、経営立て直しを急いでいる。
(日本経済新聞 2月7日)

希望退職の募集予定数を上回る応募があったということは、よほど見通しが悲観的なのだろう。対象となった40歳以上は、子供の教育費と住宅ローンが重なって、もっとも生活費のかかる年代である。
だが、居座り続けたところで、展望が開けるわけではなく、閑職に追いやられかねない。遠からず退職することが濃厚な以上、居座り続けることは、いわば終末期医療における延命行為のようなもので、ひたすら苦しむ時期を強いられるだけだ。
そんな状況が脳裏をよぎれば、退職して新天地に賭ける以外にない。だから転職先のアテがなくとも飛び出すのである。
そもそも企業にとって、社員の生活設計は考慮の対象外で、コストパフォーマンスを基準に消耗品のように削減作業に着手する。そうしないと作業は進まない。そして最後は、削減作業を実行した人事労務担当者が自分を削減して完結する。
人員削減を担当した人事労務担当者に聞くと「自分だけ無傷でいることは後ろめたいという心境になる」という。辞めていく社員たちの無念の思いを浴びて、押しつぶされそうな気になるのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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