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日本電産、関氏の社長就任発表「ものづくりのプロ」招く

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日本電産は4日、日産自動車の関潤元副最高執行責任者(COO)が4月1日付で社長に就任すると発表した。COOも兼務する。日産で生産畑を長く経験し、米国や中国など海外経験も豊富な関氏が社長に就くことで、今後の主力と見込む電気自動車(EV)用駆動モーターなど、車載事業分野の成長を加速させる。吉本浩之社長は副社長に就く。
「吉本氏は販売は強かったが、文系でものづくりに弱い。ものづくりのプロを招かないといけなかった」。4日に京都市内で記者会見した永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は社長交代の理由をこう説明。日産で技術畑を歩んだ関氏が必要だったと明かした。
永守氏によると、社長交代を考え始めたのは米中貿易戦争などを背景に業績が伸び悩んだ2019年夏ごろ。「吉本氏の経験が足りなかった。経験がないと人心掌握は難しい」(永守氏)とみて、関氏に後継の白羽の矢を立てたという。
(中略)
永守氏は2年前に吉本氏に社長を譲ってから、主要役員が集う「COO会議」を開いて経営課題を議論し、永守氏の決裁を得る集団指導体制に移行した。永守氏は「(この体制では)時間がかかる。創業以降で最大の間違いだった」と指摘。今後は永守氏と関氏が経営を主導する考えを示した。
(日本経済新聞 2月4日)

日本電産、ソフトバンク、ファーストリテイリング。この3社の後継社長には誰が就き、そして務め切るのか。創業経営者に比べて見劣りするのは仕方がない。リスクテイカーとして修羅場を経てきた経験値が違う。
創業者がカリスマなら巨大企業に発展するが、そのぶん、後継問題のハードルが高くなってしまう。後継問題を検討するときには、創業者と後継候補者との距離が遠のいてしまい、創業者が手の届ない位置にいるのだ。
だから集団指導体制に移行するのだが、当然、ひとりの判断によらないので、意思決定のスピードは落ちる。結論も合議だけに尖らず、平均点になりがちだ。
だが、いずれカリスマ創業者は引退する。以後、社長人事がダッチロールを繰り返す例もあるが、どこかで落ち着き、普通の大企業になってゆく。そのプロセスは予定調和に見えなくもない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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