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辞令の授与式で「セクハラ、パワハラは絶対ダメ」

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大和証券では部長や支店長の人事が発令されると、辞令の授与式をしている。その時、まず伝えるのが「セクハラ、パワハラは絶対ダメ」ということ。さらに必ず言うのが「仕事ぶりをいつも見ているぞ、という意識を部下に持たせてほしい」。
19時帰宅も、手数料重視だった評価の見直しも、女性の職場環境改善もすべて、社員が最高のパフォーマンスを発揮できる環境作りが目的だ。政府が言うから、他社もやっているから、そんな次元で改革を進めても浸透しない。育児休暇などの制度を作っても、申請しにくい空気が残っていれば、ないのと同じだ。トップは本気だと中間管理職が意識しないと、現場の社員に浸透しない。
(日本経済新聞 1月29日)

これは日本経済新聞の「私の履歴書」に掲載された日本証券業協会会長・鈴木茂晴氏(元大和証券会長)の回顧録である。政府が働き方改革を打ち出す前から、鈴木氏は、自身の問題意識によって長時間労働の撲滅に取り組んでいた。
真に働き方を考える企業は、政府方針とは関係なく、改革に取り組んでいる。それだけに「働き方改革」という官製言葉を用いていない。この言葉を掲げている企業の多くは、たぶん政府主導の流れに追従して取り組んでいるので、一過性に終わらないとも限らない。
かりに政府が働き方改革の推進を引っ込めたら?たぶん相当数の企業が胸をなでおろして、後戻りするだろう。この間、働き方改革が経営を衰退させるという趣旨の意見が相当に飛び交ったので、働き方改革ブームがトーンダウンすれば「我が意を得た」と逆コースに邁進するのではないか。
滅私奉公文化はそう簡単に引っ込まない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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