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開業医の長時間労働問題、神奈川県保険医協会が「働き方改革」を提言

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「せめて週1日は休みたい」。開業する医師や歯科医たちから、そんな切実な声が上がった。神奈川県保険医協会が1月29日、東京・霞が関の厚労省で会見し、「この働き方を次の世代の医師に引き継がせたくない」と訴えた。
協会はほとんどが開業医師と開業歯科医で構成される。病院の勤務医の働き方改革が進む中、開業医の劣悪な労働環境が置き去りにされることに危機感をもち、2019年1月に「開業医の4人に1人が週60時間超労働」という調査結果を発表。
その後、1年間の議論を経て「開業医の働き方改革・提言」をまとめ、会見では提言をもとに、過酷な労働環境を明らかにした。
(中略)
診療報酬が減少する中、開業医は夜間診療に対応するなど患者数を増やして経営を維持しようとしているという。スタッフや看護師を雇う余裕もない中、診療だけでなく書類作業など事務作業に追われ、ストレスを抱える医師が増加。
同協会の副理事長で医師の桑島政臣さんは「開業医・歯科医の2割が辞めてしまおうと考えている」と話す。
(弁護士ドッドコム 1月29日)

勤務環境の環境改善には発信が重要だ。さる1月25日に一般社団法人医療法務研究協会(理事長・小田原良治=日本医療法人協会常務理事)が都内で開いたシンポジウム「『医師の働き方改革』の在り方を問う」では、勤務医の立場から問題提起された。
現場の医療を守る会世話人代表の坂根Mクリニック(茨城県つくば市)院長の坂根みち子氏は、現場の意見が反映されにくい構造を指摘した。
「医療政策は厚労省と医療団体の幹部が決めていて、現場の意見がフィードバックされる構造になっていない。民主的ではない。エスタブリッシュメントが入れ替わらない限り、現場の声は届かないので、いろいろな改革が始まっても、あまりにも動きが遅い」
この指摘に、政策決定の側に就いていた元厚労事務次官の北川一男氏は「行政と医療団体の役員は現場感覚抜きに政策を決められない。個人でも、グループでも、メディアを通してでもよいから声を上げてほしい。声が届けば行政は無視できなくなる」とハッパをかけた。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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