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パワハラ、経営リスクに 6月から企業に防止措置義務

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パワーハラスメント(パワハラ)への対応が企業経営のリスクになってきた。国際労働機関(ILO)は2019年、職場でのハラスメントを全面的に禁止する国際条約を採択した。日本も6月から企業に防止措置を義務付ける。パワハラを防がないと、企業の信頼低下や顧客離れにつながる恐れがある。
厚生労働省は6月から大企業に相談窓口の設置やパワハラ禁止の就業規則への明記、相談者のプライバシー保護の徹底などを義務付ける。対応している企業は多く、相談窓口を設けている企業は73%にのぼる。大手メーカーの人事担当者は「これ以上何をすればよいのか」と話す。
パワハラに関する相談は増えている。18年度に全国の地方労働局などに寄せられたパワハラなどの相談件数は、前年度比14.9%増の8万2797件と過去最高を更新した。エン・ジャパンの調査では35歳以上の82%がパワハラを受け、このうち3人に1人が退職を決断した。パワハラ対策が不十分な職場では人材の流出が起きる。
(日本経済新聞 1月23日)

この記事に<相談窓口を設けている企業は73%にのぼる。大手メーカーの人事担当者は「これ以上何をすればよいのか」と話す>とある。
この大手メーカーがどんな措置を講じているのかはわからないが、加害者への厳罰なくしてパワハラ問題は解消しない。いかに突き抜けた業績を上げている役員・社員であろうと、パワハラにおよべば一切の例外なく懲戒処分と左遷を実施しないと、この問題に緊張感が生じない。
パワハラでキャリアが終わることを全社員に周知徹底させ、該当事案が発生すれば毅然と実行すればよい。セクハラと違い、パワハラにはグレーゾーンが多く、「言い方がきつかっただけ」などの釈明で幕引きを図ろうとする風潮がいまだに根強いそうだが、この風潮を断ち切らない限り、問題は改善されない。
社長や経営幹部に昇進する人には、支配欲求の強い例が少なくない。親分肌としてプラスに発揮さればよいが、この心理には横暴や傲慢に走るというリスクもある。メスを入れる必要がありそうだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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