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人材流出が止まらない企業の特徴「成績のいい社員が評価されない」

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歯止めがかからない人材流出に頭を抱える企業は多い。しかし、人材が流出する企業には、その経営手法や労働環境に理由があるはずだ。企業口コミサイト「キャリコネ」では「システム開発で10億円近い損失を計上し、営業利益は半減。ボーナスは激減し、人材流出に歯止めがかからない」(システムエンジニア/20代後半/男性/正社員/年収500万円)と実際に人材流出が著しい企業で働く人たちの声を紹介している。【参照元:キャリコネ】

「給料が安い。水増し不正も影響してるのか、人材の流出がかなり多くなってる」(その他/30代前半/男性/正社員/年収405万円)

「デジタルに長けた人間や営業成績のいい人間が評価されづらく、結果的に中堅の流出につながっている」(マーケティング/30代後半/男性/正社員/年収650万円)

「現在、間接要員を減らして直接要員を増やす動きがあるため、各部署からどんどん製造ラインに異動応援になっている。元々スキルのある人は、異動後に転職するので、人材流出が止まらない。製造ラインは、異動で来ても辞められて不足するため、またさらに各部署から要員要請をする、という悪循環になっている」(その他/40代前半/女性/正社員/年収520万円)。
(キャリコネニュース 1月2日)

明確な評価基準が設定されていても、運用が恣意的ではどうにもならない。だが、いまの時代、公正な人事評価を実施したところで、辞める人は辞めてゆく。

社員の定着を図るには、事業のステイタスを高め、中長期の成長を十分に理解させ、(この会社に勤めつづけたほうが得)と思ってもらう以外にないが、それでも限界がある。

ある大手消費財メーカーの人事担当者はこう話す。

「当社では30歳前後の社員に退職者が目につきます。不満があるというよりも、この年齢は人生のひとつの転換期なのでしょう。退職後は起業したり、異業種に転職する例が多いようです。戦力的には痛手ですが、これからの時代は、外資系企業のように割り切って考えるべきでしょう」

公正な人事評価、業界平均を上回る給与水準、ワークライフバランス、事業の成長性――こうした要件をクリヤすれば退職者は減少するが、現実は単純ではない。人材流出対策を講ずる一方で、採用力を強化することが必須である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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