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働き方改革「高プロ」導入は1%…アンケートで浮かぶ改革慎重姿勢

ono20190514

主要企業116社を対象とした企業アンケートでは雇用改革をめぐる制度への慎重姿勢も浮かび上がった。4月に関連法が施行された働き方改革の柱の一つ、「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」については、主要企業のほとんどが導入の予定がないと回答。改正出入国管理法で拡大された外国人労働者の受け入れ制度についても、現状の制度を当面維持すべきだとの回答が多数を占めた。
高プロは高収入の一部専門職を対象に労働時間規制や残業代支払いの対象外とする制度。「導入する」と回答した企業はわずか1%で、「導入しない」、「当面導入しないが検討課題となる」はいずれも44%となった。
高プロは多様で柔軟な働き方を確保するのが狙いだが、「長時間労働を助長する」との反対意見が根強い。導入しないと回答した企業からは「趣旨は理解できるが、サービス残業のリスクが高まる可能性がある」(建築)と危ぶむ声が上がった。
(産経新聞 5月6日)

対消費者ビジネスでは定額制サービスが台頭している。企業はコスト管理がしやすく、消費者は利用金額の上限を設定できるため、過剰消費を回避できる。双方に利点があるのだが、同じ定額制でも、高度プロフェッショナル制度には“定額働かせ放題”という危うさが潜んでいる。
費用対効果を考えれば、雇用側は働かせ放題に向かいかねない。働かせ放題を実行できなければ高プロを導入する意味がないともいえるのだが、対象社員が健康を害してしまえば高賃金が重荷になってしまう。

この記事によると、検討課題とした企業からも「効率的な働き方を実現するうえで検討対象ではあるが、適切な勤務管理や健康配慮の側面において検討すべき課題も多い」(保険)との意見が出たという。

残業時間を制限しない限り、暴走しかねない制度で、企業も導入に慎重にならざるをえない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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