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地銀、人材大手と組んで人材紹介に活路

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地方銀行や信用金庫が人材紹介業に相次ぎ参入している。金融庁が2018年に銀行の業務範囲規制を緩和したことを受け、上場する78の地銀・グループのうち約4割の30行が参入を表明した。パーソルキャリア(東京・千代田)など人材大手と組んで取引先の中小企業に経営人材らを紹介する。低金利で経営環境が厳しいなか、人材紹介を糸口に融資拡大を目指す。
「将来は海外メーカーから受注したい」。11月28日、都内に東北地方の企業と首都圏の大企業OBらが集まった。地銀や信金などが企画したイベントで、人手不足に悩む中小企業と経験豊富な人材を引き合わせる狙いだ。
(中略)
 金融庁は地銀などが人材紹介業を展開しやすいよう、18年3月に銀行の監督指針を改正した。長引く低金利で貸し出しによる本業での収益向上が難しい金融機関に対して、人材紹介業を新たな収益源としてもらおうとの思惑もある。
(日本経済新聞 12月3日)

 
金融機関が顧客情報を蓄積して事業をサポートしながら融資開拓に結び付けるリレーションシップバンキングは、2000年代初頭に“リレバン”と呼ばれ、金融機関経営にイノベーションをもたらすかのように喧伝された。

だが、企業にとって、金融機関への情報提供は同時に経営課題の開示となり、弱みを握られかねない。融資を受けていれば、核心部分を明かさないのは当然の企業防衛で、金融機関も表面的な関わり方にとどまってしまう。これは、いまでも変わらない。
この記事にある人材紹介も融資開拓への布石というが、成否はともかく、地銀の中高年行員を融資先に出向や転籍させる慣行はどうなったのか。

銀行出身者への評価は様々だが、人物次第だ。「実務を知らない」というのが主な批判だが、銀行出身者を事務長に向かえた医療法人理事長は「実務は後から覚えればよい。銀行出身者には数字に強いという特徴があるので、実務を知らなくても、経営の問題点を発掘する力に長けている」と話す。

いずれにしても、大企業でも銀行でも、定年まで大過なく過ごすという状況に入った中高年世代は、燻っているよりも転職して、もうひと花を咲かせるチャンスを追い求めるのも一手だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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