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外国人技能実習で賃金未払い 徳島県のメーカー、認定取り消し

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外国人技能実習生に対して賃金の未払いがあったとして、出入国在留管理庁と厚生労働省が技能実習適正化法に基づき、徳島県の繊維機械部品メーカーの技能実習計画認定を取り消したことが25日分かった。同社は5年間、実習生を受け入れられない。2017年11月の適正化法施行後、取り消し公表は同県内で初めて。

同社などによると、17年9月~18年7月、機械加工作業に従事したベトナム人実習生23人に、機械器具製造など一部業種に適用される特定最低賃金(17年は時給840~877円)ではなく、一般の最低賃金(740円)を基準に給与を支払った。

17年9月ごろ、徳島労働基準監督署が監督に入って発覚した。同社は既に差額を支払っている。

取り消しに伴い、3年間の実習期間が残っていた20人は全員、県外の会社に移った。(徳島新聞 11月26日)

外国人技能実習生をめぐる問題が盛んに報道され、国会でも論議されたのに、相変わらず不法行為が野放し状態になっている。

この記事によると、技能実習計画認定を取り消された徳島県の繊維機械部品メーカー副社長は「最低賃金の適用基準に対する認識不足があった。監督署や実習生には迷惑を掛けた」と話したそうだが、認識不足という発言はにわかには信じがたい。

受け入れ時に監理団体から最低賃金の説明を受けているはずで、その説明は副社長にも報告されているはずだ。
山陽新聞(11月25日付け)によると、岡山県内でベトナム人の失踪が増えていて、岡山県警が行方不明届を受理した人数は9月末現在で126人と前年同期(116人)を上回るペースで推移しているという。

今年4月に発足した特定技能による入国者数は、11月時点で1000人を超えた程度にとどまっている。出入国在留管理庁も、技能実習生をめぐる諸問題が相変わらず頻発している限り、門戸を広げるわけにいかないのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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