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勤務間インターバル制度 普及に課題 中小企業ほど低調

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厚生労働省は29日、2018年の就労条件総合調査を公表した。終業から次の始業まで一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」を既に導入したり、導入を予定・検討したりしている企業は19%で、前年の10・9%より8・1ポイント増えた。制度の導入は今年4月施行の働き方改革関連法で事業主の努力義務になったが、その普及が課題になる。厚労省は「中小企業向けの助成金などを活用し、導入を働きかけたい」としている。

調査は関連法施行前(1月時点)の状況で、従業員30人以上の計4127社から回答を得た。制度を導入している企業は3・7%で、前年の1・8%より1・9ポイント増えた。規模が大きいほど高く、1000人以上の大企業では8・3%だったが、中小企業は低調だった。1社当たりの平均時間は10時間57分。導入予定または検討している企業は15・3%で、前年比6・2ポイント増だった。政府は20年までに10%以上の導入を目標としている。
(毎日新聞 10月29日)

働き方改革にはどの業界に苦闘している。厚生労働省相の諮問機関・中央社会保険医療協議会10月18日に開いた総会で、医師の働き方改革をめぐって厚生労働省保険局の森光敬子医療課長は医療従事者の働き方改革の現状として「勤務環境改善の計画を策定している医療機関は24.6%で、数カ月に1度計画を見直している医療機関が46.1%で最多」と報告した。

議論では、医師の働き改革にはコストがかかるので、来年4月の診療報酬改定でそのコストを基本診療料に反映させるかどうかが焦点になった。
日本医師会の松本吉郎常任理事は、次のように主張した。

「医療機関が労働時間短縮に取り組むにはコストがかかる。医療機関を維持するためのコストは診療報酬によって手当されることが原則と考えている。医療の質を落とさずに、医療安全を図りながら労働時間短縮に取り組むには手当が必要だ」

医師の働き方改革を推進するには、医師事務作業補助者を雇用せざる得ない場合もある。人件費を賄うには、おのずと診療報酬のアップが必要という主張が出てこよう。

この記事に報じられた中小企業は、働き方改革コストをどのように捻出するのか。かなり難儀ではないのか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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