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雇い止め訴訟 判断相次ぐ 労使間「合意」の有無 焦点

契約社員など有期労働者の雇い止めに関する司法判断が増えている。5年を超えて働いた人は有期から無期雇用に転換できる権利を得るが、ルールの施行から6年がたち、認めなかったり対応が遅れたりした企業との間で紛争が起きている。個人と交わす労働契約について「合意」をおろそかにしてきた企業の姿勢が問われている。
「転換者の不当な絞り込みだ」
TOTOの北関東支社を雇い止めされた50代女性は、さいたま地裁でそう訴え続けた。2016年5月末、TOTOは契約社員の更新条件としていた社内等級に達しなかったとして、雇い止めにした。
無期雇用に転換できるルールの施行は13年。社内等級の条件が入ったのはその翌年で、女性は「労働契約法18条を無効にする目的があった」と主張していた。
(日本経済新聞 10月14日)

雇用契約をめぐる合意がトラブルの焦点になる場合、面接を担当した人事担当者の説明能力不足が原因であることが少なくない。
人事部門内に説明事項が共有され、説明マニュアルが作成されても、担当者の説明に不足があれば「説明したつもり」にとどまり、正当性の根拠を失ってしまいかねない。

応募者にとっては、密室でのやりとりに「説明したつもり」と主張されても、録音を取っているケースはないだろうから反証は困難である。TOTOの契約社員のように法的措置に訴える人は例外で、通常は泣き寝入りだ。

金融商品取引や不動産取引のように重要事項を逐一読み上げ、逐一合意を取りつければ説明不足という瑕疵を回避できる。配属先の責任者にも雇用契約を精読してもらい、誤解が生じないように手を打っておくことが必要だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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