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技能実習生、失踪したら賠償金 日本の監理団体が裏契約

ono20191017

外国人の技能実習制度をめぐり、受け入れを担う日本側の監理団体がベトナムの送り出し機関との間で、実習生が失踪したら賠償金を支払わせるなどの裏契約を交わしていたことが法務省関係者への取材でわかった。出入国在留管理庁と厚生労働省は、不適切な報酬の受け取りを禁じる技能実習適正化法に違反したとして、千葉、埼玉両県の二つの監理団体の運営許可を近く取り消す。

入管庁は、賠償金などの原資は実習生が応募する際に送り出し機関に支払う費用に上乗せされる仕組みだったとみている。監理団体は9月末時点で全国に2700ある。今回の不正は実習生の入国前に発覚したが、同庁はこうした不正が横行している可能性があるとみて調査する。

関係者によると、千葉県の監理団体は昨年7月、ベトナムの送り出し機関と契約を締結。同時に「覚書」とした裏契約を交わし、実習生が1年目に失踪したら30万円、2年目以降は20万円の賠償金を受け取れるとした。正規の契約では、実習生1人あたり1万5千円を送り出し機関に支払うことになっていた講習委託の手数料も、無料とする取り決めもしていた。(朝日新聞デジタル 10月8日)

外国人技能実習生活用のシンポジウムなどでは、有力監理団体の関係者が「優良な監理団体の見分け方」というテーマで話す機会がある。何度か傍聴したことがあるが、関係者の見解はおおむね一致していた。

重視すべき事項は①熱心に営業をしてこないこと②受入実績が豊富であること③自社の業種で一定以上の受入実績があること④送り出し国の言語に通じたスタッフが在籍していること⑤受け入れ研修の教育体制がしっかりしていること――などである。

どれもが「なるほど」と納得のできる事項だが、この記事に報じられた送り出し機関との裏契約など把握しようがない。技能実習適正化法に違反した2つの監理団体は、おそらく上記の事項には該当しないだろうが、そもそも監理団体の経営は、けっして収益性の高いビジネスではない。

実習先からは1人あたり月3~4万円前後の監理料が入るが、入管に提出する書類作成、受け入れ時の送迎、研修、実習先への定期訪問など業務には手間がかかる。とくに定期訪問では訪問先が近郊なら1日に数カ所を廻れるが、遠方の場合、交通費や宿泊費などで経費が飛んでしまう。

社会起業という認識で参入しないと、監理団体経営は上手く展開できない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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