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「特定技能」認定進まず 導入半年で400人弱

ono20191015

外国人の新在留資格「特定技能」導入から10月で半年を迎えた。5年間で最大約35万人を受け入れる政府試算に対し、現状の認定人数はベトナムなどからの400人弱にとどまる。日本経済新聞の取材に応じた出入国在留管理庁の佐々木聖子長官は、悪質な仲介業者を排除する協力覚書を中国・タイと早期に交わす方針を明らかにし、受け入れが増えると強調した。

特定技能は2019年4月に新設された。人手不足が深刻な飲食や介護など14分野を対象に外国人の単純労働を認める在留資格だ。これまで単純労働の実質的な受け皿だった「技能実習生」は多くが3年で帰国するのに対し、追加試験がなく5年間雇えるため技術やノウハウを伝承しやすい。

(中略)

送り出す側の対応も遅れている。国外で試験を唯一実施したフィリピン人の合格者は300人規模に上がる人材を送り出せない。「特定技能で再び問題が起きないよう指針を厳しくした」(海外雇用庁のオラリア長官)ため、送り出すルールの策定に時間がかかっている。(日本経済新聞 10月4日)

知人が勤務する出版関連会社が人材紹介事業を立ち上げたと聞いて、クリエーターの転職斡旋でもはじめたのかと思ったら、在日留学生の紹介事業だった。同社を訪問したら、留学生が入れ代わり立ち代わり応接室で面接を受けていた。

会社にはベトナムの4年制大学を卒業してから、日本語学校に留学して、日本語能力検定試験「N2」を取得したベトナム人社員が在籍している。話してみると最高ランクの「N1」に相当する日本語力をもっている。メールの文章もしっかりとしていて、事前チェックは不要。

この社員がSNSで在日ベトナム人のコミュニティから留学生を募り、会社が複数の求人会社と提携して、飲食店などに留学生をアルバイトとして紹介している。

特定技能の受け入れが進まないなかで、留学生なら手間がかからず、迅速に紹介できるという。留学生のアルバイト時間には週28時間という制限がかけられているが、企業にとっては特定技能をアテにしているよりは現実的なのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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