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副業したい社外の人材 三菱地所、受け入れへ

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三菱地所は10月から副業として働きたい人の公募を始める。外部の専門人材の知見やノウハウを活用する考えで、まず子会社で受け入れを始める。将来は本体での受け入れも検討する。自社の社員の副業を容認する動きは大企業の間でも出ているが、社外の人材の副業の受け皿になるケースは珍しい。

三菱地所が9月30日の労使間の合意で決定する見込み。自社の社員の副業も解禁する。

副業による人材の受け入れを始めるのはメディーチャ(東京・千代田)。同社は三菱地所の新規事業の社会公募制度で4月に設立しリラクゼーション施設を運営する。現在は2人の社員がおり、ブランディングやマーケティングなどの業務を担う数人程度を10月3日から一般で募集し、審査を経て決める。

メディーチャでの働き方は労務管理が必要な雇用ではなく三菱地所との業務委託契約とする。働きすぎを防ぐよう、勤務時間を月4~5日程度に制限する。(日本経済新聞 9月29日)

副業の解禁は“複業”の定着に行き着くが、この働き方が可能なのはフレックスタイムや在宅勤務が認められている会社員に限られるだろう。工場や店舗など拘束時間のある職場に配属された社員が副業を始めるとしたら、休日を費やすしかない。それだけの余力があるだろうか。

会社は異能を導入して、本人は他流試合を経験できる副業解禁は、上手くいけば双方にメリットがある。さらに双方にとって経験則の修正という効果も期待できる。

どこの会社も社歴を重ねるうちに組織固有の論理が生まれ、やがて“会社の常識=社会の非常識”へと流れていくが、社内からはこの通弊が見えにくい。あるいは見えても、会社の常識を優先して物事を判断し、しばしば社会とのズレが表面化する。

副業は委託先と本人に修正の機会を用意し、バランスを提供する。ただ、それもどれだけの関係をもてるか、互いに素直に学ぶ姿勢をもっているかによる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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