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製造業派遣のアウトソーシング、外国人実習生支援に商機

20190920

日本で働く外国人技能実習生は約33万人と、すでに群馬県前橋市、高知市といった県庁所在地の人口に匹敵している。プライベートで言葉や生活習慣の壁にぶつかる実習生もいるが、行政や雇用主など周囲のサポートは必ずしも十分ではない。ここに商機を見いだしたのが東証1部の製造業派遣大手、アウトソーシングだ。

実習生はベトナム、中国、フィリピンなどアジア出身の若者が多い。来日早々よくあるトラブルが「ゴミ出し」のルールをめぐるものだ。近隣トラブルになって実習生がストレスを抱えてしまうことが少なくない。

アウトソーシングは雇用主から実習生の生活支援を受託するビジネスを展開。すでに約1万人の実習生を対象に、指導員によるゴミ出しルールの説明のほか、病気や行政手続きなど困ったときに母国語で相談できるコールセンターを運営する。
(日本経済新聞 9月11日)

技能実習生を受け入れている関西の企業社長によると、ゴミ出しに加えて、台所のシンクを壊す、壁に穴を空ける、床に傷を付けるなどの問題が頻発したという。この社長は問題の箇所を撮影した写真を示して、こう語った。
「部屋の中はこんな状態なので、外国人労働者というだけで、アパートのオーナーは貸してくれなくなりました。いくら事前研修で生活上の注意事項を説明して、部屋の中に注意書きを掲示しても、身に沁みついた生活習慣はそう簡単に改まりません」
この企業はやむなく戸建住宅を購入して、宿舎に充てているという。

本来、技能実習生の生活指導は実習実施者と監理団体の役割だが、実習生支援ビジネスへの参入があるのは、監理団体と実習実施者による生活指導には限界があるからなのだろう。ただ、どれだけの収益を見込めるのか。

実習実施者から監理団体には実習生1人あたり月3~5万円の管理料が支払われているが、取材する限り「高い」という意見が多い。そのうえで、さらに支援会社への支払いにどれだけの予算を確保できるのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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