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氷河期世代支援の職員3人募集、1800人殺到 宝塚市

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「就職氷河期世代」とされる30代半ば~40代半ばの人を正規職員として採用する方針を明らかにしていた兵庫県宝塚市は30日、募集締め切りとなる同日までに計1816人の応募があったと発表した。募集人数の3人に対し、倍率は600倍強となった。

市によると、今月19日の受け付け開始後、北海道から沖縄まで全国から応募があったという。市は応募を500人程度と想定し、市役所など3カ所を試験会場として確保していたが、市外の大学施設なども含めて計10カ所に会場を増やした。中川智子市長は取材に「予想を超える応募状況。それだけ多くの方が支援を必要としていると実感した」。さらに「宝塚市だけでは砂漠に一滴の水を落とすようなもの」と述べ、他の自治体や民間企業に就職氷河期世代の人々を安定的に雇うよう訴えた。

今回の職員採用は、社会に出る際に不景気の影響を受けた氷河期世代の人たちに対し、正規職員としての勤め先を提供するのが狙いだった。市が設けた募集要件は1974年4月2日~84年4月1日生まれで、学歴が高卒以上の人。職務経験などは問わなかった。市は9月22日に、1次試験を実施する予定という。(朝日新聞デジタル 8月30日)

2008年に厚生労働省の補助金事業で発足した地域包括ケア研究会は、要介護高齢者に対する医療介護の地域連携を「地域包括ケアシステム」として普及させる研究に取り組み、2年ごとに報告書を発表している。

その後、地域包括ケアシステムの本義は街づくりと規定され、最新の2018年度報告書は課題に社会的孤立が挙げている。高齢者では独居者や認知症の人が孤立しがちで、孤立すると要介護率が高まるため、地域での居場所づくりを提言している。外出を促して、人との接触機会を増やす仕掛けだ。

就職氷河期世代には、20~30年後に社会的孤立に陥る可能性のある人が多い。非正規労働者のまま60代に入れば、蓄えも乏しく、年金を納付していなければ無年金生活を強いられる。すでに高齢者の貧困が社会問題に浮上しているが、貧困も外出機会を阻害し、社秋的孤立を招く。

就職氷河期世代が大量の貧困高齢者世代に移行すれば、生活保護費の支給で社会保障財政はパンクする。医療費、介護費、年金で社会保障費は膨張しつづけているが、そこにトドメを刺す事態に至りかねない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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