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技能実習、5千職場で法令違反 過去最多、監督件数も

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労働基準監督署などが昨年、外国人技能実習生が働く事業所のうち7334カ所を監督・指導したところ、70.4%に当たる5160カ所で違法残業などの法令違反があった。厚生労働省が8日、明らかにした。違法行為のうち悪質な19件は書類送検するなどした。

統計の公表を始めた2003年以降、監督指導と法令違反の件数は、いずれも過去最多。法務省によると、昨年末時点の技能実習生は32万8360人に上り、前年同時期より5万人以上増えており、厚労省の担当者は「急激に増えた実習生を、労働環境が十分に整わないまま受け入れる事業所を重点的に指導した結果だ」とみている。(共同通信 8月8日)

この記事で厚生労働省の担当者は「急激に増えた実習生を、労働環境が十分に整わないまま受け入れる事業所を重点的に指導した結果だ」と述べているが、労働環境が十分に整わないから技能実習生を受け入れているともいえる。

十分に整っていない企業は日本人従業員を確保できず、やむなく技能実習生にアプローチせざるをえない。いわば技能実習生を受け入れてはならないような企業ほど受け入れニーズが高いのだ。法令違反が多発するのは当然の結果でもある。

特定技能の受け入れが本格化すれば、転職の自由など技能実習制度との違いはあるものの、違法行為が改善されるとは考えられない。むしろ受入数が増えるにしたがって、法令違反も増えていくに違いない。

企業に対する指導は監理団体の任務だが、監理団体にとって、企業は技能実習生1人当たり毎月3~5万円の管理料を支払ってくれる顧客である。指導には限界があるのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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