Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

公文FC指導者は労働者 団交拒否は不当労働行為 都労委

ono2019080802

東京都労働委員会は31日、学習塾「公文式教室」を展開する「公文教育研究会」(大阪市)が、自身で教室を開設しているフランチャイズ(FC)指導者でつくる組織の団体交渉に応じなかったのは、労働組合法が禁じる不当労働行為に当たると認定し、団交に応じるよう命じた。

FC指導者らの組織は「全国KUMON指導者ユニオン」(約600人)。公文教育研究会に対して2016年12月、FC指導者が同社に支払うロイヤルティー(指導・助言などの対価)の減額を求めて団交を申し入れたが、拒否された。組合側は不当な団交拒否に当たるとして、17年2月に都労委に救済を申し立てていた。

都労委は、FC指導者らが労働組合法が定める労働者に当たるかどうかを検討。会社の業務遂行に不可欠な労働力として事業組織に組み入れられている▽ロイヤルティーなどを差し引いた後に残った報酬は、労務提供に対する対価としての性格を有している▽会社からの業務依頼に応じるべき関係にある――などを理由に挙げ、指導者らを労働者と認めた。8毎日新聞 7月31日)

フランチャイズ(FC)オーナーは自営業者であり、労働者ではない。自明の理である。だが、本部に対して圧倒的に不利な契約のもとで営んでいるのが現実で、関係改善をめざすには個別に交渉しても、圧倒的な力関係から跳ねのけられてしまう。
団体交渉に向かうのは当然の選択肢だが、本部は「加盟店との共存共栄」を掲げていたところで、団体交渉を仕掛けられると、飼い犬に手を嚙まれたような心境になってしまうのである。

メディアも弱者の立場から加盟店寄りの報道に入り、逆風が吹きかねない。そこで団体交渉権の無効を訴えるのだ。

FCビジネスは、本部がFC加盟店に看板とビジネスモデルとノウハウを提供して運営される。したがって、つねに本部は加盟店に対して圧倒的に優位でないと、FC運営は思惑どおりに進まない。極論としては、加盟店には本部に対してイエスマンであることが望ましい。

本部と加盟店の共存共栄という考え方は、本部と加盟店の主従関係が徹底してこそ成り立つ。良し悪しはともかく、これが現実である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。