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毎日新聞が200人規模の早期退職

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毎日新聞社が社員の1割に当たる200人規模の早期退職を募集することがダイヤモンド編集部の調べで分かった。新聞の部数減少に歯止めが掛からず、事実上のリストラに追い込まれた。人員の大幅減のしわ寄せは地方の記者に行く。これによって毎日新聞の特長である現場発の独自視点の記事が減れば、自らの首を締めることになりかねない

同社が早期退職を募集するのはバブル崩壊後の1993年以来、26年ぶりとなる。ただ、当時と異なるのは、本業の新聞事業が完全に先細りになっていることだ。新聞業界全体が深刻な部数減に直面しており、毎日新聞の部数はピーク時の79年の426万部から、2018年は274万部に減少。反転攻勢の兆しは見えない。

もう一つの重大な問題が、高齢社員に偏った年齢構成だ。

本誌が入手した労働組合資料によれば、丸山昌宏社長は5月29日、早期退職優遇制度を労組に提案した際、「構造改革を先送りしてきた結果、50歳代以上が社員の4割強を占め、さらに管理職が3割以上を占めるいびつな構造になっている」と危機感を語った。驚くべきことに50歳代の社員の半数が部長職以上に就いているという。(ダイヤモンドオンライン 7月2日)

今春に約180人の希望退職者を募集した産経新聞社の新卒入社は2人だった。いくらネット情報の台頭に対して信頼性を訴えても、もはや新聞の衰退は止めようがない。

朝の通勤電車で日本経済新聞を読む人はすっかり目にしなくなった。電車内で情報収集をする人は皆スマホの画面に向き合っている。新聞を小脇にかかえる人も見かけなくなった。

それだけではない。一般消費財の流通だけでなく情報流通も、SNSの普及によってCtoCの時代に入っている。エンドユーザーが記者であり、カメラマンなのである。飛び交う情報は玉石混交だが、読む側にとって、それは承知の上だ。真に受けなければ害はない。

これからますます新聞はスマホに取って代わられ、映画やテレビは動画配信に侵食される。まさにメディアの構造転換である。好し悪しを論じても、この流れは止まらない。

この真っ只中で希望退職するベテラン記者たちは、どんな職に就くのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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