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東芝系社員、退職拒み単純作業 「追い出し部屋」と反発

ono20190625

東芝が100%出資する主要子会社にこの春、新しい部署ができた。そこには希望退職に応じなかった社員らが集められ、社内外の多忙な工場や物流倉庫で単純作業を命じられている。東芝は「適切な再配置先が決まるまでの一時的措置」だと説明するが、社員からは「退職を促す追い出し部屋だ」との反発が出ている。
新部署は、発電所向けの設備をつくる東芝エネルギーシステムズ(川崎市)が4月に設けた「業務センター」。東芝や関係者によると、所属する約20人は、それまで技術管理や営業、事務などの仕事をしていた。同システムズは火力や原子力など発電所の需要低迷を理由に、勤続10年以上で45歳以上を対象に3月末での希望退職を募集。上司に応募を促されながら拒んだ社員らが配属されたという。

複数の社員によると、4月中は研修として社外の人材コンサルタントらの講義を受け、経営環境の厳しさを理解し、配属を前向きに考えるよう求められた。自分を省みて変えるべき点を同僚に表明し、作文にもまとめたという。
その後、各社員に対し、応援先として新潟県の電池工場やグループ外の物流倉庫が示された。5月からそこに出向き、運搬や仕分けなどの作業を命じられている。応援先は半年後に見直されるという。
(朝日新聞デジタル 6月15日)

厚生労働省が発表したパワハラの6類型のひとつに「過小な要求 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと」が盛り込まれている。

この記事を読む限り、東芝のケースはパワハラに該当するように見えるが、会社側は「業務上の合理性がなく」に抵触しないように、合理性の根拠を固めているはずだ。実質的にはパワハラでも、適正な配置なのでパワハラに該当しないと理論武装して、法廷戦術も視野に入れたうえで単純作業を命じているのだろう。
それにしても、社員から追い出し部屋と批判され、メディアのネタにされることが明らかなのに、東芝はどんな社会感覚で単純作業への異動を命じたのか。報復人事によって対象社員のギブアップを待っているのか。

時代背景は異なるが、石坂泰三や土光敏夫が社長なら、こんな嫌らしい措置は取らなかっただろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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