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「月収の基準ずれてる」 阪急電鉄の中づりに批判殺到

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阪急阪神ホールディングス(HD)は10日、月収に触れた阪急電鉄の中づり広告が、インターネット上で庶民感覚とずれているなどと批判されたため、撤去することを決めた。同社広報は「公共交通機関の広告として内容が不適切だった。今後は適切かどうかのチェックを強化する」と説明した。

広告は、働く人を勇気づける言葉の企画として6月から始まり、阪急神戸線、宝塚線、京都線の一部の電車に掲示していた。全80種類のキャッチコピーの中に、「毎月50万円もらって毎日生き甲斐(がい)のない生活を送るか、30万円だけど仕事に行くのが楽しみで仕方がないという生活と、どっちがいいか。」というものがあった。この内容に対して、ツイッター上で「月収の基準がずれている」「(高級住宅地のある)阪急沿線の金銭感覚だ」などと批判が殺到したという。

また、「私たちの目的は、お金を集めることじゃない。地球上で、いちばんたくさんのありがとうを集めることだ。」という広告に対しても、「ブラック企業のような精神論で不愉快」といった批判が寄せられた。(朝日新聞デジタル 6月10日)

給料の額を示せば一般論として受け流されるとは限らず、多くの反発が出ることを検討して広告を作成したのかどうか。舞台裏は知る由もないが、かりに広告制作に関わったメンバーに賃金事情に一定の知見をもつ人が含まれていなくとも、数字を示せばリアルになるだけに反発も出ることは容易に想像がつくのではないか。

まして介護士や保育士の低賃金がクローズアップされている時世である。この広告を月収が15万円に満たない介護士や保育士が見たら、どんな気分になるだろうか。(奉仕を旨とする福祉職だから世間の賃金相場とかけ離れていてもやむをえない)とは受け止めまい。

一方、「私たちの目的は、お金を集めることじゃない。地球上で、いちばんたくさんのありがとうを集めることだ。」というコピーは、ワタミグループの「地球上で一番たくさんの“ありがとう”を集めるグループになろう」というグループスローガンを想起させる。これも反発を呼び起こすことぐらい想像がつくはずだが、どんな議論を経たのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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