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副業解禁、主要企業5割

働き方改革の一環として、企業が副業を解禁する動きが進んでいる。日本経済新聞社が東証1部上場などの大手企業にアンケートを実施したところ、回答を得た約120社のうち約5割の企業が従業員に副業を認めていることが分かった。企業側には外部のノウハウを吸収し、人材育成や新事業の開発につなげたいとの期待が大きい。複数の職場で働く従業員の労務管理などの課題も残る。企業が就業規則の参考とする「モデル就業規則」も見直し、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」との規定を削除した。
(中略)
副業について「認めており社内で制度化している」と「制度はないが申し出などに応じて認めている」を合わせると、認めている企業は49.8%だった。「認めない方針」は22.3%だった。
副業を認めているか、検討している、または関心があると回答した大手企業94社に副業のメリット(複数回答)を聞いたところ、「社員の成長やモチベーション向上につながる」(76.6%)が最多だった。「社員のセカンドキャリアの形成に資する」(45.7%)などが続いた。
(日本経済新聞 5月20日)

トヨタ自動車の豊田章男社長が終身雇用の終焉を言明したことは、日本中の会社員にセカンドキャリア開発を促したメッセージに等しい。終身雇用を前提にしなければ、セカンドキャリアの準備として副業の解禁は当然の流れである。
 
副業を解禁すれば雇用にも柔軟に取り組みやすくなる。社員に終身雇用の終焉と副業の解禁をセットにすることを説明すれば、社員も会社にぶら下がらずに、食い扶持の確保に動くだろう。社畜からも解放される。

一方、この調査で「認めない方針」は22.3%だったが、認めない方針の企業は、終身雇用を保証したうえで、結構な水準の賃金を支払い続けられるのだろうか。副業禁止の理由に、本業への集中度が弱まることや、副業中の安全確保などを挙げる企業もあるが、その本心は社員の支配・拘束を旨とする滅私奉公文化にあるのではないか。

滅私奉公において社員は社畜であり、副業は背徳の所業ともいえる。副業を解禁しているかどうかで、雇用姿勢の一端が垣間見える。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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