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介護EPA人材、試験免除で特定技能に

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厚生労働省と法務省は経済連携協定(EPA)に基づいて介護福祉士の候補者として来日した外国人について、一定の条件を満たせば試験を受けずに、新たな在留資格「特定技能」に移行できるようにした。国内で経験を積んだ外国人の活躍の場を増やし、介護分野の人手確保につなげる狙い。
両省が運用要領の一部を改正した。無試験で移行するには日本で4年間就労し、介護福祉士試験で合格点の5割以上の得点を取得していることなどが条件になる。特定技能に移行すれば、さらに最長5年間、介護施設で働けるようになる。
EPAに基づき介護福祉士候補者として入国した外国人は2018年度時点で約4300人。18年に受け入れを始めた技能実習生は無試験で特定技能に移行できるため、EPAで入国した外国人についても同様の取り扱いを求める声が受け入れ施設などから上がっていた。
また、両省は16日、特定技能に技能実習制度から移行できる対象業種として「宿泊」を追加すると発表した。宿泊の技能実習の期間を現在の1年から最大3年に延ばす。技能実習から特定技能へ試験なしで移行するのに必要な3年の技能実習期間が確保できるようにする。
(日本経済新聞 5月16日)

外国人介護人材の受け入れには4つの制度が併用されている。

①EPA(経済連携協定)に基づくインドネシア・フィリピン・ベトナムからの受け入れ 
②介護福祉士資格を取得した留学生への在留資格「介護」の付与 
③技能実習制度に基づく受け入れ 
④在留資格「特定技能」に基づく受け入れ
――4つの制度のうちハードルが低い技能実習制度と在留資格「特定技能」が立て続けに制度化されたことに、戸惑っている介護事業者も少なくない。

技能実習制度に介護職が追加されたのは17年11月。一部の先行的な介護事業者は18年から技能実習生の受け入れを開始しているが、その矢先に、19年4月の在留資格「特定技能」施行が決定した。ある社会福祉法人理事は「現地での面接を重ねて、研修も含めコストをかけて受け入れて現場に配置した途端に、新しい制度が発足して面食らっている。受け入れ計画が翻弄されてしまった」と吐露する。
今後は、実習がタテマエで制約の多い技能実習生から特定技能への人材移動が予想されるが、EPAから特定技能へ移行できる措置に着手するという。特定技能への集約に向かいつつある。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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